2009年07月17日号

吾郎さんの誕生日に!


吾郎さんはグループホームに入居している男性である。今日、95歳の誕生日を迎えた。6年前の4月に現在のホームに入居したが、入居当初は介護拒否のためにスタッフを散々手こずらせた。しかし、ある日を境にピタリと拒否が消失してしまった。この契機については、以前の稿に詳しく書いた。


   「往診のときに誕生会をするので昼食を抜いて来てください」と言われていたので、空腹を我慢して看護師長と出向いた。吾郎さんの娘夫婦も来所していて、賑やかに誕生会が始まり、スタッフ一同や娘さんから花束の寄贈…私からは看護師長が用意してくれたバラの花と好物のアンパン。ふと、スタッフの多さに気づいた。いつもは3人態勢だが、夜勤明けの人、今日が休日の人、ほぼユニットの全員がいる。新任のホーム長が「人気者なんだね!」と驚いたが、ユニットの責任者が「アイドルです」と答えた。


   「老いの自覚」とは、自分の身体的能力の減退を素直に受け入れる「精神の健全性」のことを意味すると私は思っている。長年、高齢者医療に関わって確信しているのは、認知機能低下の有無にかかわらず、「老いの自覚」=「精神の健全性」を保っているかどうかが大切で、当人が「幸福と感じるかどうか」の分水嶺になっていると思う。


   老いに関しては様々な著作があり、石原慎太郎の『老いてこそ人生』、吉本隆明の『老いの超え方』が私の愛読書である。だが、私は、この両者の表題にある受諾と拒絶というニュアンスとは違った別の「生き方」もあるのではないかと思っている。今年1月に発行された『女房に捨てられないための中年力』(石蔵文信著)という本がある。看護師長が医療関係の新聞に掲載された記事から拾ってきた。さっそく、インターネットで注文し、私の手元に届いたが、目次を見てみて思わず腰が引けた。私の日常生活を振り返ると「やってはいけないこと」の連続…まだ、読んではいない!


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