2009年08月21日号

アニ君、お久しぶり!


ある日、30・40代の男性がみぞおちの激しい痛みを訴えて来院した。症状は夕食後、午後11時頃に始まり、午前2時頃に1度嘔吐したが、その後も朝まで周期的に痛みが激しくなるという。昨晩の夕食を尋ねると、少し遅い夕食でメニューはスープカレーだったとのこと。


   「友人が釣ってきたソイの刺身」との返答を期待したのだが…拍子抜けの回答…なおも食い下がって「他に刺身などは?」と尋ねたところ、「ヒラメ…の刺身」と。スープカレーと刺身…何とも奇妙な組み合わせと思ったが、「久しぶりにアニサキス君の顔を拝めるのかなあ」と漠然と考えた。


   アニサキスは回虫の仲間であるが、もともとはイルカやアザラシなど海獣の腸管内寄生虫だ。糞便と一緒になって海中に放出された虫卵はプランクトンに食べられ、そのプランクトンを食べた魚の体内で幼虫になり、その魚を捕食した海獣に戻って成虫になる生活サイクルを送っている。このサイクルに人間が割り込み、幼虫のいる魚を食べた人に災いをもたらすのだ。刺身で食べられ胃内に入ったアニサキス幼虫は、胃液で消化されないために必死で胃壁に刺さり込む、このとき激痛が生じる。


   経鼻法による上部消化管内視鏡検査を実施した。先ず、十二指腸まで入れて観察した。まれにアニサキスが十二指腸や小腸まで入り込んで緊急手術に至ることもある。抜きながら胃の中ほどまで観察したが、アニサキスを疑うような所見は認められない。最後に胃の入口の噴門部…いたいた、頭を胃壁に突き刺し、トグロを巻いて尻尾を振っている。鉗子で虫体をつかみ抜去した。通常は抜き去った途端に痛みは消失するが、何度もアニサキスを食して免疫が成立していると、アレルギー反応のため胃の不快感が数日間続くこともある。小樽の病院に勤務しているときは、しばしば遭遇したアニサキス、ここしばらくはご無沙汰…アニ君、お久しぶりでした!!


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