2009年11月13日号

突然の視力低下には素早い処置を


いよいよ寒さが身にしみる季節。急激な気温の低下は身体にも変化をもたらします。特に心血管系への影響は大きく、高血圧や動脈硬化、糖尿病などの持病がある場合には、心筋梗塞や脳梗塞に気をつけなければなりません。この時期には、これら内科的疾患を背景に眼底疾患も急増します。多くは、発症と同時に急激な視力低下を起こすため直ぐに自覚しますが、その後に迅速な処置を行うか否かにより結果が大きく異なってきます。


   ①猶予は60分 網膜中心動脈閉塞症は、視力の急激な低下と視野全体的のぼやけ、ものの形や色が不鮮明といった症状で発病します。眼底は、網膜全体が灰白色に混濁して、網膜の動脈や静脈が細くなっています。これは網膜全体に酸素と栄養を供給している主幹動脈が血栓(血液の塊)などで閉塞し、新鮮な血液が網膜に流れ込まなくなったためです。理論的には閉塞発症後60分以内に適切な処置を行わなければ、酸素不足のため網膜細胞は死んでしまい、その後血行が回復しても網膜機能は元に戻らないと言われています。しかし、臨床的には症状出現から10時間以内に治療すれば網膜機能が改善する可能性が残されています。治療としては、眼球マッサージを行ったり、狭心症や心筋梗塞で使われるニトログリセリンや血栓溶解剤などの投与、高圧酸素療法を行うこともあります。しかし、この時間帯を過ぎると網膜は回復困難な壊死(えし)を起こします。それ故、治療には一刻の猶予もありません。


   ②眼虚血症候群 網膜中心動脈が枝分かれする前の大きな動脈(内頸動脈、眼動脈)が血管閉塞することもあります。眼虚血症候群と呼ばれ、症状も重篤です。


   これらの背景には全身の動脈硬化、高血圧、糖尿病などの持病があり、それらは互いに悪影響を及ぼし合い、全身の動脈硬化を進行させているのです。いずれにしても、視力の急激な低下を自覚したら、様子を見るヒマはありません。直ちに適切な処置を受けて下さい。


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