2009年11月20日号

鯉の姿揚げ甘酢あんかけ


11月2日、スタッフたちは就業中から何となくウキウキ。仕事を終えると直ぐに新札幌駅に直行し、旭川行きのL特急に乗った。名目は観楓会だが、別に紅葉狩りの予定はなく、何のことはない、心を躍らせているのは恒例になっている旭川の中華料理店の老舗である華龍閣での会食である。


   この店の女将とは30年来の友人である。台湾出身のご主人と駆け落ち同様にして旭川に来て、この店を開いた。ご主人は早世したが、調理人と一緒にご主人の味を守り、現在は息子さんが店を取り仕切っている。女将は作詞家としても活躍しており、今年で作詞家30年の記念の年を迎えるそうだ。この店の名物はバチカイ(白葱鶏)…白葱を刻んで積んだ上に蒸した若鶏の切り身を並べた料理だが、蒜芽を使った回肉鍋、麻婆豆腐や八宝菜、ザンギなど中華料理の定番はすべて捨てがたい。


   平成15年秋に茨城県霞が関で始まったコイヘルペス騒動、我が国の鯉養殖は壊滅的な状況になったようだ。この影響のため2年前の華龍閣での会食では鯉の姿揚げがソイの切り身のから揚げに変身した。当時からウイルス耐性鯉の研究がなされていたようで、今年の予約の時には「今回は期待して」とのこと…大皿に載せられて食卓上に出た鯉、調理前は40センチ以上…上に盛られた甘酢あんかけが食欲をそそる。


   来店するまでは、「私は焼きそば」「私は飴芋」「私はエビチリ」などとそれぞれに言っていたスタッフだが、目の前に出現する料理の前では無言のまま、ひたすら箸を口に運ぶ。私は、食卓に載った鯉姿揚げを正面に据えて深呼吸し、フォークで保持しながら真中にナイフを入れ、たっぷりと甘酢あんかけをからめて口に運んだ。口中に広がるゴツゴツした鯉の骨身と、とろける甘酢あんかけの味が舌の上で混ざり合い、得も言われぬ至上の幸福感。来年も「観楓会は鯉姿揚げ甘酢あんかけだ」と叫びたかった。


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