2010年02月05日号

虚血性大腸炎?


クリニックの外来が混雑した正月明け、40歳ほどの女性が腹痛を訴え、受診した。問診では、以前から時々急に起こる腹痛発作があったが、年末に特に激しい腹痛が突然出現し、とある医院を受診。検査の結果、虚血性大腸炎と診断…入院が必要と言われ、一週間の絶食・点滴治療を受けて退院…だが、その後も腹痛が続いているとのこと。


   虚血性大腸炎???正直、まさかと思った。年齡が若すぎる、下血がない、腹痛の部位があちこち移動するなど症状と診断が合致しない。その医院で受けた腹部CT検査で虚血のため直腸がドーナツ状に腫れていた?のが診断の根拠と説明。


   虚血性大腸炎とは、大腸粘膜に血液を供給する血管が閉塞し、酸素や栄養分の供給を絶たれた粘膜が壊死することによって生じる疾患…突然出現する左下腹部痛と下血が特徴的で、60歳以上の女性に多く見られる。基礎に動脈硬化性病変があることがほとんど。今まで私が経験した6症例は、すべて70歳以上の女性で、そのうち4例は80歳代、突然の左下腹部痛と大量の下血が見られ、大腸内視鏡検査で確定診断できた。


   インターネットで「虚血性大腸炎」を検索すると、あるブログに20歳代の女性が「虚血性大腸炎と診断され不安」という記事が掲載され、それに対し「最近、若い人にも増えている」「診断後5年になるが、今も下血と腹痛に悩まされている」などの返答が同じく若い女性から寄せられている。だが、これらの応答を読むと、いずれの症例も恐らく潰瘍性大腸炎と思われる。若い人にも特殊な疾患の合併症として発症することは考えられるが、もし、若い女性に見られたら学会での症例報告に値する。この女性の場合、過敏性腸症候群、大腸の一過性痙攣が原因と思われるストレス疾患と思われた。日常生活上の注意と疼痛出現時の対応を説明し、症状が続くなら再来するように伝えて診察を終えたが、今日まで再来はない!


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