2010年02月19日号

虚血性心疾患!


Sさんは80代前半の男性、高血圧症などで開業当初からの患者さん。以前から心電図変化が認められ、心電図検査を行う度に「少し激しく動いたとき、みぞおちの少し上に絞めつけられる感じや痛みはありませんか?」と尋ね、自覚症状があれば直ぐに教えてくれるように頼んでいた。心電図検査では、十分に狭心症を疑う所見だったからだ。


   昨年末の定期受診の際、「先日、先生から言われていた胸の症状があった」と訴えた。「紹介状を書くので、直ぐに専門医を受診してね」と。「年末年始だから忙しい…」と躊躇。だが、「できるだけ早めに受診してね」と念を押した。


   虚血性心疾患とは、心臓に栄養や酸素を供給している冠状動脈の動脈硬化が進んで細くなった部分が生じ、心筋に十分な酸素が行かなくなったことで起こる病気。運動負荷時に一時的に酸素不足が起こる狭心症、完全に閉塞してしまう心筋梗塞がある。心筋梗塞は致命的な場合も珍しくない。狭窄の状態によっていくつかの治療法が選択される。心臓の検査というとカテーテル検査を思い浮かべる人が多いが、虚血性心疾患に関しては、最近、マルチスライスCTという苦痛を伴わない検査が可能。


   循環器に関する精密検査は私の友人である新札幌循環器病院の佐々木院長に依頼。Sさんもすぐに受診してくれ、冠状動脈前下降枝の重要な部分に狭窄が見つかった。術後に送られてきた画像を見ると、ほぼ完全閉塞に近い状態で、何時、心筋梗塞が起こっても不思議はない。直ちに、心臓カテーテルが行われ、ステントが装着された。ステントとは、金属メッシュでできた管状の装置、その内腔に風船が仕込まれている。局部に到達すると風船を膨らませ、ステントも広がる。ステントはそのままの形状で血管を拡げたまま残る。「先生のおかげで命を長らえました」と晴れやかな表情で受診してくれたSさん、この一件、医者冥利に尽きると思った!


浴衣 福袋

トラックバックURL:

« ある冬の日々…きっといいことが… | TOP | 冬と目の病気② »

[PR]SEO対策済みテンプレート