2010年04月02日号

トッチの壺


トッチは今年4月に高校2年生、私のクリニックに勤務するM看護師の三男である。母親がクリニックにパートで勤務を始めた年に小学校に入学した。学校から帰宅…何時も家にいた母親がいない…寂しさのあまりクリニックに電話をかけてきたことが何度もあった。母親から聞いた成長していくトッチの逸話は、どれも彼のユニークな発想に基づくものでいつも興味を持っていた。


   彼は中学からサッカー部に所属、秀才とは言い難いが、これが進学にも大いに役立った。引退したコンサドーレ札幌の曽田選手から頂いた写真やサイン、サポートシップやフラッグなどをトッチに預け、次々にトッチのコレクションに加えてもらった。彼の部屋を訪れると、きっと私とコンサドーレ札幌との関わりの歴史を知ることができると思う。


   雪解けも始まったある朝、トッチの母親が「トッチが学校で作ってきた壺、高さは40センチもあるんだけど」と。私はトッチが作った壺だから抽象的な形状の壺を想像し、クリニックに持ってきてくれるように頼んだ。翌日、私が眼にした『壺』…愕然とした…私は過去に多少陶芸を手がけたことがあり、高さが40センチ以上で直径が30センチもある粘土の造形を作るのは至難の技なのを知っている。美術の授業時間に初めて手がけた陶芸作品とは信じられなかった。


   トッチの『壺』を見て、看護師長と妻に「この壺に似合う花を注文して欲しい」と伝えた。色付や釉は専門家が施したのだろうが、何よりも形状の美しさ、いや威厳さえもある。手先が器用なトッチだからこそ可能なのだろう。届いたのは新芽がたくさん付いた桜の枝。10日ほどで蕾がふくらみ、やがて満開となり、いよいよ壺の良さが引き立った。往診から帰ってその満開の桜を眺めていたら、台に敷いたクロスが濡れているのに気づいた。現在、壺の漏洩箇所を検索中、綺麗に修復してクリニックの宝物にしようと思う。


perfume CD

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