2010年05月21日号

No.116


心の回診は、書けなくて苦しい時とまるで右手に魔法がかかったかのようにスラスラ書ける時がある。ここまで書いていいのかと思う時もあるし、反省して落ち込む事もある。


   115回の心の回診を読んで下さったちあきさんから届いたメールに、私は泣いた。末期の肺癌のお父さんに優しくできなかった自分を責め苦しんでいる内容だった。


   お父さんは独りで病院を受診されて、病名と余命を告知されたそうだ。ちあきさんは、なぜあの日一緒に病院に行って上げなかったのか…幼い子供を抱えている事を理由に優しく孝行できなかった事を悔いている。


   私も同じ経験をした。父が膀胱癌を宣告されて重篤な状態になった時、夫に一週間の約束で釧路に行かせて欲しいと頼んだ。3人の子供はお手伝いのおばさんに頼み、病室の床に泊まり込んだ。父の体を熱いタオルで拭き、好物のうなぎを食べさせてあげたいと思った。しかし父は「修子が食べている姿を見ているだけでいい」と箸をつけなかった。そして「郁ちゃんが待っている。帰りなさい」と言う。別れの日、父は枕の下のお財布から3万円を私の手に握らせてくれた。これが最後の別れになるかも知れない…夜汽車に揺られながら涙が溢れて止まらなかった。


   父が最期まで案じてくれた郁朗は4歳の時に脳腫瘍の手術をし視力を失ったが、「命だけは助けて下さい」と祈った通り、神様は私の胸に息子を返して下さった。この時、拳で畳を叩き「可哀想に…代わってやりたい」と泣いてくれたのが父だった。


   ちあきさん、貴女のお父さんはちあきさんと同居できて幸せでした。けんかをする事も実の親子だからできる事。お父さんとの思い出がいっぱいあって羨ましいです。


   貴女のお陰で私、父の事を思い出して懐かしかった…。近い内に好物の素甘を持ってお墓に逢いに行って来ます。


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