2010年06月18日号

生命力…第2の出産?


Tさんは92歳になる女性。7年前にグループホームに入居。三味線を弾き、民謡を歌って踊るのが大好きで施設の温泉旅行では盆踊りの音頭をとる明るく愉快な人柄、些細なことに怒る認知症男性入居者に「ケツの穴の小さい男だね」と気風をきる姉御肌、他の入居者や介護スタッフからも好かれている。


   活動的な反面、転倒して骨折したり、慢性硬膜外出血を起こしたり…鎮静剤の使用も考慮、娘さんが「施設の中で生き生きして活動している姿を見るのが嬉しい。事故は覚悟」と使用を断った。しかし、3年ほど前から下肢筋力やバランス感覚の衰え、認知症の進行などで徐々に活動性が低下。昨年5月に脳内出血を起こし、リハビリ後もほぼ寝た切り生活に。


   Tさんは入居時の検査で胆石症が認められ、年に1回ほど胆石発作があり、腹痛や肝機能低下などを繰り返していた。脳内出血後の摂食減少で低蛋白血症と浮腫、やむなく補助栄養食品を用いた。脂肪含有量が多いため胆石発作を誘発して胆嚢炎の合併。やがて敗血症から播種性血管内凝固症候群(DIC)と呼ばれる病態へ進行、血小板数は15万から一気に3万に減少、癌などの末期に出現する病態。以前から「施設での最後」を希望する家族を呼んで悲観的な現況を説明した。


   その2日後、今まで「ウーン」とのTさんの呻きが突然に止んだ。翌朝、排便があり、DICのため下血が見られていたTさんの便を観察していたスタッフが便の中に2個の塊と砂粒のようなものを見つけ、保存。その翌日からTさんは経口摂取を始め、お見舞いに訪れた他の入居者の歌う民謡に調子を合わせ、声も出したとのこと。私にはDICに陥った患者さんが、自力で回復した経験はない。便中の塊は確かに胆石だ。Tさんは4人のお子さんを生んでいるが、胆石を排出する第2の出産?で見事にDICを退けた。今後、どこまでTさんの生命力が続くのか楽しみだ!


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