2010年06月25日号

「ありがとう」


伯母は悪いことがあっても何があっても「ありがとうございます」と手を合わせる人だったから、小さい頃はよく不思議に思ったのを覚えている。


   ところが、50を過ぎた頃から、散歩人も同じようなことをするようになった。トラブルに遭遇した時にも「ありがとう」と言う。「口に出して言うと、きっといい方に進んでゆくよ」と知人が教えてくれて、なるほど、それを心がけるようになってから物事がいい方いい方に転がっていくような気がするのである。


   悪いことが起こっても、「ありがとう」と言えば、うじうじと悲観することがなくなった。なぜそういう事態が起こったのか、自分に何が足りなくて、あるいは何かを気づかせたくて起こったのか、それを何かの「試練」として受け止められるようになった気がするのである。この程度に食い止めてくれて「ありがとう」…警告をしてくれて「ありがとう」…気づかせてくれて「ありがとう」…なのだ。本当にそんな感じになっちゃうのだから仕方がない。で、原因が思い当たればそれを直す努力をすればいい。不思議なのだがどう向き合えばいいかもわかってくる。物事がわかりやすくなって、気が晴れやかになった。考え方がプラスに転ずる…気が楽になる。


   今は伯母と同じに、「ありがとう」が散歩人のおまじないの言葉になった。…いや、本当のことなのである。だまされたと思って、「ありがとう」と言う癖をつけてみれば、きっといいことがある…と思う。


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