2010年07月16日号

カラスの諜報機関


ある朝、私より少し遅れて出勤した妻が、「大変!私、カラスに蹴飛ばされたのよ」と。地下鉄駅に向かう途中、いきなり頭に衝撃を覚えたそうだ。以前から私も、カラスの子育て時期に同じ場所やクリニックの周辺で同じ体験を繰り返し、旅先でもカラスを見ると、「襲われる?」との強迫観念に悩まされている。


   クリニックのスタッフに話すと、「先生、カラスに悪さをしてイジメたんじゃ…」と言われた。「ベランダに置いたヒヨドリの餌を盗みにくるので何度も脅したけど…今度は女房までもが巻き添えに?」と言ったところ、「カラスの情報網は恐ろしい、本人の顔や奥さんなどの親族関係も含めて覚えていて…先生、全国に指名手配されているのかも?」と。


   カラスはスズメ目カラス科の鳥で、わが国に生息するのは大部分がハシブトガラスとハシボソガラスの2種。今年のサッカーW杯でベスト16になった日本代表のシンボルマークとして使われ、神話で神武天皇の先導をした三本足のヤタガラス(八咫烏)は想像上のもの。昔から頭の良いトリとして知られ、世界各地の神話や伝説にも登場する。人間の個体を見分けて記憶、自然界の動植物を区別して認識するのはお手のもの…眉唾だが、JRの人間に巣を撤去された報復として線路に石を置くとか、神社の賽銭を盗んで自販機からハトの餌を買ったという報告もあるそうだ。


   こうしたカラスの能力に嫉妬したせいなのか、人間世界では体を洗わずに直ぐに風呂からあがる「カラスの行水」とか目尻のシワを「カラスの足跡」など悪い意味の慣用句もある。ともあれ、カラスに人間のような言葉がなかったことを感謝すべきである。もし、言語があれば、個体が獲得した情報は集団で共有されるようになり立派な諜報機関として成立するからだ。一時期、自宅周辺でカモメに押され気味だったカラス…近頃はカモメを見かけない。諜報戦争に敗北したのかも?


プリントワンピ

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