2010年10月01日号

相性?この摩訶不思議


Oさんは85歳の女性、昨年春にグループホームに入居。変形性膝関節症のため歩行もままならず、強度の難聴もある。入居前は独りで何とか階段の昇降を行い、認知症対応のデイサービスにも通っていた。しかし、いよいよ独居生活が困難になり入居したのだ。頭部CT検査では典型的なアルツハイマー型の脳萎縮が見られる。


   第一印象はニコヤカだったが、夕方になると「家に帰らなくちゃ」と。「今日は暑いから」「今日は雨模様だから」との介護スタッフの宥めで帰宅を明日に延ばす?日々。新しい環境での人間関係が作れたら状況に変化?…と思っていた。同じユニットのIさんが最適と考えて世話をお願いした。


   高齢者にとっての大きな問題は、新しい人間関係を作る困難さである。従来の親しい人間関係を維持する能力は時間的・空間的な制約のために希薄になっていく。彼女と親しい関係を作ることができると私が考えていたのは、早くに夫を膀胱癌で亡くしたIさん…社交的な性格だが家事は不得手。Oさんに積極的に話しかけるが、難聴のためコミュニケーションの取れないOさんへの苛立、加えてOさんへ親しく接することでの嫉妬…親密な人間関係どころか、常にOさんの挙動を監視し、ダメな人との印象が固定してしまった。まもなくIさんは持病の心房細動から脳梗塞を発症し、ホームからの退去を余儀なくされた。


   新しく入居したYさん、娘さんへの被害妄想が激しさを増して家庭での介護が困難になり入居。誰が促したのでもないが入居初日からOさんと寄り添って親しく会話?…Oさんは相変わらず家に帰るための天気を心配しているし、Yさんは娘さんが金品を取り上げてしまった悲哀を訴え続けている。傍から見ると、会話としてはまったく成立していないのだが、2人の表情を見ると穏やか。予期しない新たな人間関係の展開に、相性とは実に不思議なものだ!


おもちゃ・ホビー・ゲーム

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