2010年11月19日号

漢方薬の副作用


今年春ころ、「原発性アルドステロン症じゃないでしょうか?」と訴えて2人の初診患者さんが相次いで来院した。テレビ番組で、難治性の高血圧症の中に、この疾患が含まれているとの報道されたことが受診のきっかけらしい。いずれも高血圧症のため治療を受けているが、血圧が安定しないとの訴えである。


   この病気は、治療抵抗性を示す高血圧症の患者さんの中に見つかり、低カリウムや高ナトリウム血症などが診断のきっかけとなる。アルドステロンを分泌する副腎異常が原因の原発性、肝硬変や腎疾患などに合併する続発性、似て非なる偽性の3つに分類される。私は原発性アルドステロン症の患者さんを診たことはないが、漢方薬に多用される甘草の過剰服用による偽性アルドステロン症は経験したことがある。


   原発性はアルドステロンの過剰分泌(副腎腫瘍などが原因)の証明、続発性は原因となる疾患の検索で診断するのだが、複数の複雑な検査を行って確定診断する。簡易の方法としては、血清カリウム低値とナトリウム高値、血漿アルドステロン濃度と血漿レニン活性の比率を調べる。だが、この疾患と非常に良く似た病態を示す偽性アルドステロン症という病気もある。


   初診した2人の患者さんは、幸いなことに検査によって原発性・続発性、偽性アルドステロン症は否定された。過去に偽性アルドステロン症と診断した患者さんのことを思い出した。いずれも複数の漢方薬を処方されて服用しており、肝機能障害が出現したとのことで肝臓庇護作用のあるグリチルリチン製剤を追加処方されていた。甘草の有効成分はグリチルリチンでアルドステロンと同様の作用を有する物質の増加を促進する。過剰なグリチルリチン服用が原因の浮腫、高血圧、低カリウム血症を疑い、偽性アルドステロン症と診断したのだ。漢方薬には副作用がないと言われているが、落とし穴はあるものだ!


ロイズ チョコレート

トラックバックURL:

« いい夫婦の日!? | TOP | No.122 »

[PR]SEO対策済みテンプレート