2010年12月03日号

急性感染性胃腸炎


23歳の女性が下痢と嘔吐を訴えて受診した。職業が幼稚園の先生であることや症状の推移から急性感染性胃腸炎が疑われた。テレビの報道によると、全国的にこのような胃腸炎の流行の兆しが見られているようで、発生例数は昨年の2倍にもなっているそうだ。この時期に流行する胃腸炎にはノロウイルス感染症が含まれている可能性が高い。


   激しい下痢と嘔吐が特徴のノロウイルス感染症だが、腹痛や発熱などの症状も出現することがある。これらの症状がすべて揃うこともあるが、下痢や嘔吐のみの場合もある。最初の感染は汚染された二枚貝(カキやホタテ)を食することで起こるが、人から人への感染は下痢便や嘔吐物が原因となる。下痢や嘔吐は眼に見えない微粒子となって想像以上の範囲に拡散する。汚染された器物に接触した手指を媒介にして感染が拡大する。


   ノロウイルスは1968年に米国オハイオ州Norwalkの小学校で集団発生した胃腸炎から分離され、Norwalkウイルスと命名された。ノロウイルスは感染力が強く、2006年の厚生省の食中毒統計では70%が原因ウイルスとのこと。血液型による感染率の差異があり、O型に感染し易く、B型には感染しにくいそうだ。


   症状は突然に起って繰り返す嘔吐と下痢。症状は1~2日で治まるが、高齢者や幼児では誤嚥性肺炎や脱水症といった合併症で重篤化することもある。ウイルスはアルコール消毒が無効…ハイターとかブリーチなど塩素系漂白剤が有効、トイレや台所、洗面所など水回りや吐物を漂白剤で消毒することで効果が期待される。だが、これだけでは汚染源を完全に除去することは困難であり、食事前のうがいと手洗いが、原始的だが最も有効な方法である。昨年、新型インフルエンザの流行で、うがいと手洗いが徹底されたことで、急性流行性胃腸炎の流行が少なかったことを学ぶべきだ!


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