2010年12月17日号

イクラのつぶやき!


故郷の川をさかのぼり、産卵を終えると力尽きて息絶える、文字通り命がけの世代交代を演じる鮭の産卵…何度見ても感動的な映像である。私の子供の頃は、今のように生の鮭を市場の店頭で見かけることはなく、歳末の「歳の市」に塩引きの鮭や筋子が並び、大晦日や正月の食卓を飾る程度だった。


   川に遡上した鮭のイクラは皮が硬くなるため、遡上前の卵巣を取り出して塩で漬けたものが筋子、それをほぐしてバラバラにし、醤油や味醂(酒)で味付けしたものがイクラである。あつあつのご飯にイクラを載せたイクラ丼、ご飯のお供の筋子、どちらも今では日常的な取り合わせであり、筋子はおにぎりの具に、イクラは大根おろしと合わせて酒の肴にも最適である。


   産卵され孵化した鮭の稚魚は、餌を自力で摂取できるようになるまでの間、自分の腹部に付着した卵黄(鶏卵で言えば黄身)を栄養源にする。だから、イクラは鮭の栄養源だ。イクラに豊富に含まれているのは、DHAやIPAなど栄養補助食品の宣伝で良く耳にする成分である。これらは高度不飽和脂肪酸で動脈硬化を予防し、脳の活性化をサポートする成分である。


   一方でイクラは動脈硬化の元凶と言われるコレステロールの含有量も多く、痛風の原因となるプリン体もたくさん含んでいる。そのために「敬遠するべき食品」の代表としてノミネートされる。だが、血中のコレステロールの80%は自分の肝臓で作られているし、プリン体を含む食品も数多くある。私は、患者さんにいつも言うのだが、「イクラだって、他の食材についても、食べてダメなモノはありません。片寄らずバランスの取れた食材を食べることです」と。最近ではサラダやパスタに散らして料理の彩りを添える食材のイクラだが、「命がけで世代交代をしている」イクラ、「その生命のバトンを大切に考えて食べてね」というイクラのつぶやきも聞こえてくる!


ビクター コンポ

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