2011年03月25日号

天罰だなんて…


「天罰」という言葉がある。意味は「天のくだす罰。自然に来る悪事のむくい」(広辞苑)とある…。


   東京都知事の石原慎太郎氏が3月14日、東北地方太平洋沖地震の津波の被害を、日本人に対する天罰だと発言した。発言は「日本人のアイデンティティーは我欲になっちゃった。この津波をうまく利用して我欲を1回洗い落とす必要がある。積年たまった日本人の心のアカをね。これはやっぱり天罰だと思う」という内容。記者会見で、被災者に対して非常に不謹慎な発言だと思うが撤回の考えは…と追及されると、「『被災された人は非常に耳障りな言葉に聞こえるかもしれないが』と言葉を添えた」と釈明したが、実際にはそのような言葉は添えていなかったほか、その時点で撤回もしなかった(多くの非難を浴び翌日「天罰」発言を撤回して謝罪)――。


   「耳障りな言葉」と添えていようがいまいが、日本人のアイデンティティー(自分の存在・あり方の拠り所となる立脚点、いわば心の土台=散歩人注)が“我欲”だと思おうが思うまいが、多くの人々が震災の犠牲になって苦しんでいるのを前に、「天罰」とは何事だろう。おそらく普通の人なら、“天罰だ”とは口に出すどころか思いもしないに違いない。自分を高みに置いて、他人事として苦しむ人々を愚弄(ぐろう)する石原慎太郎という人物が、恥ずかしいことにこの国の首都・東京の知事でもあることに愕然(がくぜん)とする。


   大地震、大津波、追い打ちをかける原発事故。通常の大災害とされる規模のものが、一度に幾十も集中したかのような想像を絶する巨大災害は、東北太平洋岸にとどまらず、実は北海道をはじめ各地にも大きな津波と地震の被害を残している。それでもまず、一番困っている人達から、被害の深刻なところから…と、「我欲」どころか誰も身勝手を言わない。命をかけて立ち向かう人々もいる。何て素敵な国だろうと、あらためて思う。“バカ者”の妄言に付き合っている暇などない。


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