2011年04月29日号

女性とコレステロール


特定健診(メタボ健診)を受けたA子さん、中性脂肪(TG)は157、善玉コレステロール(HDL)は43、悪玉コレステロール(LDL)は197mg/dlとの結果。厚労省が決めた基準からすると、明らかな高LDL血症。閉経期以後の女性の高LDL血症は宿命的なもの。女性ホルモンはLDLを低下させる作用があり、閉経期以後は女性ホルモンの減少によって徐々にLDLが高くなる。


   高LDL血症は心筋梗塞や脳梗塞のリスクとなることは知られているが、男性の方が女性よりも平均LDL値は低いにも関わらず男性の心筋梗塞や脳梗塞発症率が圧倒的に高い。とすると、LDL以外の因子がこれらの疾患の発症に関与している可能性が高いということになる。最近、「閉経期以後の高LDL血症は治療の必要はない」との極論の一方で、「生活の欧米化で女性の高LDL血症のリスクも増しているので積極的に薬物治療が必要」という主張もある。


   総コレステロール(TC)の基準値は130~220、LDLの基準値は70~139だが、様々な疫学的調査などから判断すると、閉経期以後の女性の場合、TCが280以上、LDLは190以上で薬物治療の絶対的適応となり、高血圧症や糖尿病、喫煙習慣などがある場合にはより低い値に設定するのが妥当だろうと思われる。


   A子さんに上記内容を説明したが、「薬には副作用があるの?」との質問…「副作用のない薬剤はありませんよ」と答えると、次に「薬は一生飲まなくちゃならないの?」との矢継ぎ早の質問。「今後の生活習慣や合併症の有無など、そのときの状況で考えましょう」と答えると、「私は食生活に人一倍気を遣っているのよ」と不満げな表情で立ち上がり、診察室を出て行った。私の仕事は診察や検査をして、そのデータから適切な助言を与えることだ。このような場面に出くわすと、何のための健診なのかと考え込んでしまう!


GReeeeN CD

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