2011年06月24日号

アケビ


アケビのツルを編んでカゴなんかを作る手工芸が人気だそうで、その講座の案内などもよく見かけるようになった。ところが、散歩人などは、この工芸にあんまりいいイメージを持っていなくて、出来ればやめて欲しいなどと、もしかして身勝手なことを思っている…。


   生まれ育った秋田の山の中は、秋になるとコクワやアケビ(秋田ではアグビと言った)、山ぶどうやらコハゼやら栗やら……秋の恵みがたわわに実って、子供たちは山の中を夢中になって駆けずり回るのだった。


   …で、アケビである。空色に熟れた実が、大きいのになると20cm級にもなったのがぱっくり口を開き加減になってたわわにぶら下がっている、そういうツタのかぶさった木や藪(やぶ)を見つけた時の喜びは、胸がわくわく波打って間に川があろうが何があろうがザブザブと漕(こ)いで行ってしまう…そういうふうに人を狂わせるほどに大きい。子供も大人も無我夢中で、村ではそれぞれに親兄弟譲りの隠し場所もあるほどだった。


   そのツタが大きく成長するには何年もかかる。村の人々は大切に大切に見守っているのだ。それを…「冬前と春雪が解けてから山に入って、アケビのツタをごっそり取っていく。もう悔しくてな…。弁当の殻(から)まで残していくし…」と、久しぶりに帰郷した散歩人に兄が口説(くど)いた。町人が山に来て、土地の人の立場にも立たず傍若無人にさんざん踏み荒らして行く…昔から腹立たしい光景だった。そういう人が、さも自然に親しんでいるかのようなポーズを取っているのが、またまた腹立たしい。血圧が上がって来たからここら辺にしておくが、アケビのツタ(ツル)でも山菜でも、村々の山を荒らすのは遠慮すべきことなのだ。ツル工芸を楽しむ人は、どうぞこういう嫌な思いをしている人が存在することも想像してもらいたい。ツルは栽培か山林の手入れの副産物として入手出来るのかも知れない。


   もうすぐ、夏も盛りになって、甘い桑の実が赤黒く熟す…酸っぱいグミの実も赤く熟す…その後秋口には、山桑(やまぐわ・山法師)の不思議な甘みのある実もサクランボのように赤くなる…。そして、秋の山…。


ICレコーダー サンヨー

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