2011年08月12日号

ワニの涙


読書は好きな方で最近ひときわ楽しみにしているのは、月1回発行されるNHKの「テレビでイタリア語」です。テキス卜を手にしたら、最初に開くのは、巻末の「シモネッタの迷走録」です。


   書いているのは、人生経験豊富なイタリア語会議通訳者兼翻訳家の田丸公美子さん。数年前にたまたま書店で著書「シモネッタのデカメロン」(文春文庫)を見つけました。軽妙なタッチでイタリアの文化(特にイタリア男どもの考え方)を、おもしろおかしく、時に色っぽく書いている名文!迷文?を読んでからは、あっという聞に著者の虜になりました。この他にも「パーネ・アモーレ」(文春文庫)、「目からハム」(朝日新聞出版)、「シモネッタのドラゴン姥桜」(文藝春秋)など多数の著書がありますので、是非ご一読下さい。抱腹絶倒!請け合いです。


   さて、8月号は「目に蛇口」というタイトルで、松田聖子や酒井法子を引き合いに、そら涙を特技とする美人女性のしたたかさを話の種にしています。彼女らがそら涙を流すときには、涙から美形を守るためウォータープルーフマスカラで周到に目の周りを防御しているとのこと。涙の流し方の必殺技についても載っています。我こそはと思われる方は、書店でこの必殺技を習得して下さい。


   田丸さんによると、英語でもイタリア語でもそら涙のことをワニの涙(crocodile tears)と言うそうです。実は眼科用語にもワニの涙ということばがあります。以前に「お父さんがこのごろ食事のたびに涙を流すのだけど、どうしたんだろう?」と遠方に住むお袋より聴かれたことがあります。くわしく聞いてみると、数ヶ月前に顔面神経麻痩を患ったとのこと。これで疑問は一気に解決です。顔面神経麻煙の回復過程で、本来は涙を分泌させるため唾液線に行くべき神経線維が、間違って涙を流す涙腺に入ってしまう、神経の異常再生が原因だ、ったのです。


   意味深のワニの涙、どうやら美人にのみ与えられた専売特許ではなさそうです。


薬用スカルプD

トラックバックURL:

« 細胞から病気を治す医薬品の話No.250 | TOP | タニシ泥棒 »

[PR]SEO対策済みテンプレート