2011年09月30日号

サンマのカルパッチョ


サンマが豊漁…今年のサンマは大型で脂ものり、秋の味覚の代表にふさわしい。クリニックの税務を委託している税理士のSさんが、憔悴した顔で来院した。「夕べ妻と外食してから家に帰り、午後11時頃からみぞおちが痛み、暫くすると止まるが、ほぼ1時間ごとに痛みがやってきて目が覚め、ほとんど眠れなかった」と訴えた。


   「刺身は食べなかった?」との質問に、「夕食はイタリアンでした」と。「今年のサンマは美味しいので、サンマのカルパッチョなんかは?」との質問には「何で分かるのですか?」と怪訝な顔をして「店の人に勧められ…」との返答。ここまでの話で胃アニサキス症と確信した。


   アニサキスはクジラやイルカなど海洋性哺乳類の腸に寄生する回虫の一種。卵は糞便と共に海中に放出され、オキアミなどの甲殻類からサンマなど魚類を経て幼虫に、これらの魚類を食べたクジラなどの腸管内に戻って成虫になるライフサイクル。人は魚を食することでこのサイクルの中に入り込む。ただ、人の腸管内で成虫になることはない。1時間から30分間隔で出現する激しい間歇的心窩部痛が特徴の胃アニサキス症…問診のみでの診断が可能だ。


   朝の忙しい時間帯だったが、上部消化管内視鏡検査を実施。十二指腸下行脚まで挿入し、抜去しながら襞の間も丁寧に観察。胃の中ほど胃角部の対側に頭を胃壁に挿し込み、トグロを巻いている。複数匹いることもあるので、胃上部の噴門まで詳しく観察したが、幸いこれ一匹。鉗子でアニサキスの虫体を掴み、胃壁から抜き取った。一部始終をモニタで見ていたSさん、「大きな虫でしたね」と。30mm弱なので普通の大きさ…胃液で消化されまいと必死で壁に刺さり込むときに激しく痛む。「予防法は?」との質問に、友人の「腐ったものでも良く噛めば問題ない」との言葉を思い出した。なるほど虫体を噛み切れば、アニサキスは死んでしまうのだ!


エヴァンゲリオン CD

トラックバックURL:

« マクロファージ | TOP | もっと七味を…! »

[PR]SEO対策済みテンプレート