2011年10月07日号

石巻旧ハリストス正教会


満開の桜の下の9頭の馬の絵、受付カウンターの正面に飾っていたが、秋から冬へと向かう時節柄、少々違和感を覚えていた。落ち着いた雰囲気の別の絵画を掲げようと思い、数年前に行った全国の由緒ある教会を描いた個展を思い出した。作者のF氏は患者さん。クリニックには数点の彼のスケッチ画を展示。


   Fさんに頼んで、その作品を持ってきてもらった。スタッフと協議の上、小樽富岡教会、五島列島の堂崎天主堂、そして石巻旧ハリストス正教会のスケッチ画を購入した。先の個展の折に購入した豊平区にある札幌ハリストス正教会の絵画を含めて4点を展示することにした。カウンター正面には右に堂崎天主堂、左に石巻旧ハリストス正教会の絵画を掲げてみた。


   石巻は東日本大震災で大きな被害を受けた地域である。この教会はどうなったのだろうと思い、インターネットで検索してみた。津波の被害で大きく損壊し、隣にボートが打ち揚げられている教会の写真が掲載されていた。この教会は明治13年に建設されたそうで、ギリシャ正教の教会堂としては現存する日本最古の木造教会堂だそうだ。ビザンチン式ドーム工法を日本式の円堂(8角形の建物)の手法で真似たもので、建築学的にも興味深いものらしい。地図で検索すると旧北上川河口の中洲に建っている。震災から半年を経て、NHKの特集番組で、中州を見下ろす高台から中継していて、遠くに教会が眺望できた。


   そんなある日、大学で英文学を教えている患者さんのYさんが来院した。診察室に入った彼はいきなり「カウンター正面左側の絵、あれ石巻?」と聞いてきた。「そうです」と答えると、石巻はYさんの生まれ故郷で、彼の叔父はこの教会の長老を務めていたそうだ。しかし、今回の震災で被災し、仙台市に移り住んだらしいけど行方がわからないとのこと。「もし連絡がつけば、この絵を差し上げましょう」と告げた!


lecca CD

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