2012年02月24日号

花になる


「人は死んだら花になる」……この美しい言葉は、作家の故・水上勉氏が話してくれた言葉だという。水上さんは福井県若狭地方の生まれで、父親は村の墓地の管理をしていた。まだ土葬だった子供の頃、父親に連れられて墓穴掘りに行った時…(以下引用)。


   「ここに生えている木はみんな椿や。この椿は仏さんを食べて墓地中に根を張っとんのや。こう生えてる木は皆仏さんの木やで。冬になると、お婆(ば)んや爺(じ)やんの花が咲くんやから、爺やんやお婆んに会いたいと思うたら、皆花になっとらすんやから、花を見なされ」と教えられ、また、冬にソリ遊びをしていた頃のことを、「ソリを作ってもろて、みんなで滑って遊んどって、バーンと椿の木に当たると、ホロホロッと雪が落ちて、その中に五片の赤紫のビロードのような厚い花びらの椿がまじっていて、それが子供の私のほうべたに当たりました。そのとき私は、ああ、お婆んにおうたなと思いましたよ。つまり、人は死ねば土になり、空に戻るとは仏教の説くところでございますけれども、私たち穴掘りといわれたファミリーでは、人は死んだら花になると教えたのであります」…。


   昭和62年の秋、金沢市の泉丘高校で、水上勉氏が講演した折りに語った逸話だと、曹洞宗・雲龍寺(金沢市)住職の荒崎良徳さんが紹介していた(月刊誌「大法輪」2012年1月号・リレーコラム「仏教の眼」より)。


   妹の亡くなった夫を「千の風」と呼んで、「“千の風”は本当に料理にうるさくて…」などと、笑い合って思い出を話す姉妹に会ったことがある。「千の風になって」という歌が日本で流行ってから10年。原詩は世界で多くの人々を慰め、そして愛された詩だ。1000の風になって…雪のきらめきになって…陽の光になって…やさしい秋の雨になって…私は死んでないのです…。


   3・11。あれからもうすぐ1年になる。日本中の人々が、「死」という現実に向かい合った1年でもあったような気がする。


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