2012年03月16日号

No.138


おとうさんに認知症の兆しが出て、家族が病院に連れていらした。奥さん、息子さん、娘さん達…「どうしたらおとうさんを救えるか?」と真剣そのもので、世間の親子関係の中でこんなに優しい家族もいる、と感動した。


   まず専門の先生に診てもらいましょう。散歩などの運動を続けること。家族との団欒の時間を大切にする。「また忘れたの?」「呆けたの?」等と言う言葉は使わないで下さいね?とアドバイスしたら「ホラおとうさん、やっぱり散歩がいいんだよ。今日から一緒に歩こうね」と、娘さんがおとうさんの背中を撫でている。そばで奥さんがうなだれて「私も悪かった。やっと定年になったおとうさんに楽をさせてあげたいと思って、テレビばかり見ていても注意しなかったから…」。奥さんの言葉に「この家族なら大丈夫だ!」と直感した。


   たいていは、忙しい事が優先されて、認知症では?と気にしながら「まだ大丈夫か」と思ってしまうのだが、この御家族は、すぐ実行に移した。私の目の前で一週間のスケジュールを立て始め「お兄ちゃんが日曜日に相手をしてくれるなら、女姉妹は他の曜日に散歩とか買い物を一緒にしよう」。ミニ家族会議の仲間に入れてもらいながら、私は、涙が溢れて来た。


   私は、母に、こんなに優しくできなかった。「さっき言ったでしょ!?」きつい言葉で何度言ったことか…。ごめんね、お母さん。


   それから暫くして、おとうさんと二人の娘さんが会いに来てくれた。担当の先生が「服薬の効果と家族の関わり方がとてもよい」と、ほめて下さったと、涙を流さんばかりの喜びようだった。


   以前読んだ本で「親友がひとりいれば呆けない」と言う文章が心に残っている。私は、家族の愛が「認知症を救う」と言いたい。おかあさん、週末、きっと逢いに行きます。待っててね。


矢井田瞳 CD

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