2012年05月11日号

眼科検査新時代⑤緑内障は神経線維の早老病?


「緑内障ってどんな病気」と聞かれるといつも困るのですが、「網膜の神経線維が寿命よりも早く老け込んでしまう病気」。これも1つの答えかなと思います。


   身体の細胞は、一定期間を過ぎると死に至るよう遺伝子が記憶しています。網膜の視細胞からの情報を脳の視中枢に伝達する網膜の神経節細胞も同様です。この細胞から脳に延びる神経線維はおよそ100万本あり眼球出口で1本の視神経となりますが、生まれたときから毎年4000~5000本の神経線維が消失していきます。この計算で行くと、40歳になると20万本が、70歳では35万本が減少します。要するに年を取ると、神経線維は少なくなり網膜は薄くなります。神経線維が死滅すると視野欠損が起こるはずですが、生理的範囲であれば見え方に支障は生じません。目には余力があります。それでは何歳まで大丈夫かと言うと、およそ120~130歳と考えられています。
   緑内障は視野の一部に異常が現れて、拡大していく病気です。これは何らかの原因で神経線維の死滅が予定より早まったためと考えられます。つまり網膜神経線維に早老病が起こったと言うことです。40歳では20人に1人、70歳になると7~8人に1人が緑内障になると言われています。視野異常が一旦起こると元には戻らないので、出来るだけ早期に緑内障を発見し進行を食い止めることが重要です。


   緑内障では、神経線維の消失(目の構造変化)が視野異常(目の機能異常)に先行するので、神経線維がどの部位でどれだけ減少したかが分かれば早期診断が可能になります。都合の良いことに眼球の出口にあたる視神経乳頭には全ての神経繊維が集まるので、OCTで視神経乳頭周囲の菲薄化網膜の範囲と程度を調べれば、現在または将来に起こりうる視野変化を推測できるのです。以前は視野異常の有無が早期診断の鍵でしたが、現在はOCTにより視野異常が現れる前に初期緑内障を見つけることが出来ます。


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