2012年05月25日号

“バカ”になる


小さい頃はお調子者とよく言われていた。気持ちが乗るとすぐにはしゃぎ出すから「また調子に乗って…」などと、たしなめられるのがいつものことだった。大人たちのそんなまなざしが突き刺さるのを意識し出した頃から、どうも自分の性格を素直に出せなくなってしまった気がする。


   無口で内気で大人しい“性格”が好まれたのは、東北の田舎だけではなくて、この国の伝統的な精神文化なのだろうと思うけど、嘆息交じりに眉をひそめる大人たちの表情にいつも心を脅かされる気がしていた。お前は社交家だのお調子者だのと言われるのが嫌で、大人に好かれたい一心から、子供の頃には無理に内気な風を装ってみたり恥ずかしがり屋を気取った時期があった。人にちやほやされたい好かれたい、その思いが行動を支配していた。その辺から精神状態がちょっと曲がってゆく…。本来のお調子者が無理に心をひん曲げて、思慮深そうな内気を気取っていたから、高校1年の頃には神経衰弱の感じにすらなった。


   そのうち…なにがきっかけだったか良く覚えていない。ただ勃然(ぼつぜん)として「なあに馬鹿なことをやってんだ。人がどう思おうがいいじゃないか」と、人の目を気にして生きてしまっていることに嫌気がさした。人に良く思われるためのへつらい根性などはぶん投げてしまえと開き直った。人が何と思おうといいじゃないか、笑うなら笑え、恥をかいたらそれで少しはものを知れば儲けものだ、真っ裸でぶつかってやれ…とずいぶん興奮して考えたことを覚えている。急にさばさばした気持ちになった。


   その気持ちは今でも変わっていない気がする。ただ、東北の片田舎のお調子者は世の中に出てみると実は結構内気な方で、まだまだうじうじしている方が多いものだから、場を盛り上げようと“バカ”になれる人なんかに出会うと言い知れぬうらやましさと尊敬の念を感じたりするのだった。だから、今は盆踊りなんかで誰も踊らないと、率先してタコ踊りを披露するまでに“成長”した…。


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