2012年06月15日号

ごまかされてはいけない


恐ろしいな!と思った。


   福島第1原発事故を調べる国会事故調(黒川清委員長)に出席した清水正孝東京電力前社長の証言は、事故後の低姿勢が嘘のような開き直った自己(自社)弁護に終始した――事故現場からの「撤退」は初めから考えもせず、官邸の誤解で「微妙なニュアンスがずれたのかもしれない」…(全面撤退は許されないと東電本店に乗り込んだ)菅首相については、「『60をこした幹部は現地へ行って死んでもいいんだ』と言い、現地の発電所で死力を尽くして立ち向かっている多くの人たちが、(テレビ会議システムで見ていて)打ちのめされているんじゃないかというのが(当時の)感想だ」(新聞各紙より要約)――。


   首相が本店に乗り込んで撤退を阻止したということに対しても、(もともと撤退は考えていなかったから)「首相の話によって撤退を思いとどまったということではない」などと言う。世間が好意的に見る現場の社員を盾(たて)にして、暗に官邸と菅前首相を“悪者”に仕立て上げ、イメージ低下をはかるきわめて巧妙な計算が見え隠れする。


   証言に対して朝日新聞は「菅氏に責任押しつけ」と報じ、福島第1は「放棄」、第2は「いずれ撤退」という「原発放棄計画」を示唆する東電幹部の話があったことを伝えたが(6月9日付)、ほとんどの新聞は菅前首相の証言の時とは打って変わって、他人事のような報道ぶりだった。


   不思議なことに、この第18回委員会後に黒川委員長は、「コミュニケーションのミスが、『退避』を巡る両者の食い違いに発展した…」と語り、認識の“食い違い”で幕を引く姿勢を見せた。事故当事者が現場から逃げ出したら地元だけでなくこの国はどうなるのか。事故調はこの重大な問題を清水前社長が主張する“コミュニケーションのズレ”にすり替えて、その検証責任をなぜか放棄した。そして官邸の責任を糾弾する方向に向かう…。


   事故に立ち向かった官邸のイメージ低下を狙い、本来の責任を官邸の不手際にすり替える、そうした何かの不気味な恐ろしい“意志”が色濃く感じられる。もともとは旧政権が推し進めた原発政策。菅前首相、民主党が底辺に据えているだろう「脱原発依存」の方向にブレーキをかけたい大企業ほかの“原子力ムラ”…誹謗と中傷を巧妙に交えた、イメージ低下戦略。


   いつの間にか、もともと誰がどちら側にいて、誰がどちらの側にいるのか、一般国民には、何が何だかわからなくされてしまっているのではないか。原発問題だけではなく、いろいろなことでもごまかされてはいけないと思うのだ。


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