2012年07月06日号

あの日憧れた・・・


夏の日の光が水の流れを映して、水底に揺らめいている。ゆらゆらとたゆたう黄金色の綾(あや)文様だったり、木漏れ日を映す水玉模様だったり、時にはせせらぎに反射するきらめきだったりするのだが、その光がまた子供たちの顔や体に不思議な光の影を映し出すのだった…。村を流れる小川で掬(すく)い網を持って川遊びをするのが好きだった。10かそこらまでの子供の頃…。


   小川で雑魚すくいをしていると、時折、農作業の合間に大人たちがのぞきに来たりした。そのうちに、どれどれ、と川に入ってきて、本式のやり方ですくって見せてくれる。杭(くい)にワラや草を巻きつけて、その場で即席の道具を作るのを子供たちは目を丸くして見ている。それで川淵を突付いて魚を追い込む様は、その手早さも動きの豪快さも、網に入る魚の数も大きさも、子供たちのとは比べものにならないのだった。


   村人たちはそうして子供たちを喜ばせ、子供たちは大人の力に圧倒されながら、網の使い方、魚の追い方を自然に身につけた。大人たちは山と川のことなら何でも知っていた。木の実やキノコや山菜の採り方、ナタやノコギリの使い方、木の切り方、縄の結び方、薪(まき)の割り方、杭(くい)の打ち方、ウサギの捕り方、蛇のつかまえ方……すごいものだ、と大人たちを見上げて、その博識と行動力に憧れながら子供たちは育った。小学生の頃、大人が鼻毛を抜くのを見て「すげぇな…早くああなりてぇな」と真剣な面持ちで言った同級生のことを思い出す。それほどの憧れだった…。


   今、初老の年齢を迎えて思う。はたして、ああいう大人になって来れたかどうか!


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