2012年07月20日号

木の実の恵み


「そろそろグミが生(な)る頃だなあ」と独り言を言ったら、会社の若いスタッフが怪訝(けげん)な顔をした。「川に泳ぎに行く時にな、グミの木に登っては良く食った」…「あまり食うと、どんじ(お尻)がとっぱる(詰まる)ど!…なんて大人に笑われながらな」。それが渋(しぶ)だという細かい白い点々が一面についている、赤い小さなグミ(茱萸)の実。葉は小さめの白っぽい緑で、枝という枝に鈴生りに実が下がっている。夏に赤くなるのもあるし、秋に熟すのもある。多少シブくても何でもいい、腹を空かせ甘いものにも飢えている子供たちは、赤く熟したのを先を争って口に放り込んだ。


   ???の表情のスタッフたちに気がついて、「グミって知ってるか?」……「甘いヤツですよね」「グニュグニュした」。ああ、そうか、と合点した。結構な年代の人でも、あの菓子の「グミ」しか知らない。だから聞いてる人の頭の中には、お菓子の「グミ」が枝に生っているおとぎ話のような情景の想像がふくらんで、???…になっていたのだった。「赤い小さい木の実でさ、細長いのも丸いのもあって、ちょっと渋いんだけれど、甘い」。札幌近辺なら、芸術の森の上の方の丘にずいぶん植えられて、実が生っているのを懐かしく見たおぼえがある。あそこには赤いサクランボのような実の生る山法師(ヤマボウシ)も並木のように植えられていたなあ。


   時期は過ぎたけど、シグリ(スグリ)という実も知らない人が多い。北海道に来たら「グスベリ」と言う。調べたら英語(グースベリー)だった。たいしたもんだ、北欧のような景色と雰囲気で、シグリの呼び方も英語であか抜けしていると感心した。ひとつひとつ枝に生る大きい実は赤くなりかけが美味しいのだが、青い時から食べてしまった。塩で揉(も)むとさらにうまい。小さい実がブドウのように房状に生るフサスグリはショウシグリ(西洋シグリ?)と秋田の田舎では呼んだが、北海道では「カリンズ」なのだそうだ。やはり、あか抜けている。


   その房になったショウシグリ(カリンズ)を一気に口に放り込んで歯でしごきながら食べる。と、カメムシがこの実に好んでついているのだった。この虫は臭いほかにかじると辛かった記憶がある。唐突に食われた虫もその運命を恨むのだろうけど、食った方も口中に広がる不気味な味と臭いにしばらく苦悶する。その話をしたら、道産子の“カリンズ”派も同じような苦(にが)い経験を何度かしていた…。


   今は、もう誰も、見向きもしなくなった木の実たち…。みんな同じに少し甘くてちょっと酸っぱかった。そうだ!桑の実も黒く熟す頃…。


クールジェル

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