2012年09月28日号

クマと山の幸


「知床の知床に激痩せヒグマ 夏の餌不足が深刻」(9月12日・共同通信)のニュースと、痩せこけたそのヒグマの写真にちょっとショックを受けた。8日午前7時ごろ、斜里町側のカムイワッカの滝近くの河口でマス漁をしていた漁師が、肩や腰の骨が浮かぶほど痩せこけたヒグマを見つけ、写真に撮ったのだという。知床では痩せたヒグマの目撃例が相次ぎ、ヒグマ対策に当たる知床財団は、深刻な餌不足が背景にあると指摘する。4日には、痩せた子グマの死骸が定置網に引っかかっていた、サケ、マスは例年の3割程度しか取れていない、と漁師は話した。ヒグマは、岩場で30分ほど川を眺めていたが、重そうな足取りで山へ去ったという…


   先頃は南区の真駒内周辺の街の真ん中で迷いグマ出没騒ぎがあったばかりだったから、何だかせつなくて、胸が痛む思いがした。ヒグマは恐ろしい肉食動物のイメージがあるのだが、実際には食べ物の4分の3が植物性のもので、果物や植物の根っこ、球根、木の実、花、草、コケなどが餌になるといわれる。鋭く大きな爪は、土を掘り起こすために進化したという説もあるのだという。動物性の食べ物では、魚や昆虫、蛾などの幼虫、蜂蜜、シカ、ネズミやジリスなどの小型哺乳類…ほか種々雑多で、主に朝と夜に食べ物を探しに行き、日中は茂みの中で休んでいることが多いと本などにはある。季節によって餌場を求めて移動することが確認されていて、秋の間に数百km移動するクマもいるそうだ。


   小学1、2年生の頃だったろうか、ツキノワグマ(月輪熊)の母と子の物語が教科書にあって、心にずいぶん響いたのだろう、今になってもおぼろげに覚えている。子グマのためにヤマブドウを採ろうと、その一心で母グマが崖に突き出た木にのぼって、折れた枝もろとも崖下に落ちて行ってしまう…そこまでしか記憶にないのだが、ブドウのある先端の方に今にも折れそうな枝をつたう母グマと、木のたもとでその様子を見つめる子グマを描いた挿絵(さしえ)が悲しくて、クマの親子の境遇に同情した。母グマが枝をつたう姿の向こうに、丸い月がかかっていた記憶がある。母は、夜の闇の中に落ちて行ってしまったのだ…。


   去年は木の実の不作で、飢えるクマがいた。気になって、野幌森林公園の辺(ほとり)の開拓の村に聞いてみた。「大丈夫だと思いますよ。今年はドングリも栗も豊作ですよ」。クマもたらふく食べられそうな実りだそうだ。もうすぐ中秋。クマたちもきっと見上げている十五夜の月が、澄んだ夜空に浮かぶ…。


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