2012年10月12日号

アニサキス・ハンター


K子さんはアラフォーの女性。年に1度くらい風邪などの症状のために受診している。昼休み時間、事務から「みぞおちが痛む患者さんが診て欲しい」と連絡、直ぐに来院するように告げて戦略を練った。電話で話した概要から胃アニサキス症を疑ったからだ。


   上腹を抑えて診察室のベッドに転がり込んだK子さん。痛みの性状を知ることが重要、鈍いか鋭いか、特に持続して痛むか間歇的に痛むかなどだ。最後に食した食品と食べてからの時間、嘔吐や下痢など随伴症状の有無などの情報収集を行う。鋭い30分間隔の間歇的痛み、昨日自宅で作った筋子の醤油漬けを食べて4時間後から始まり、嘔気はあるが嘔吐や下痢はない。ほぼ90%以上の確率でアニサキス症と確信し、胃カメラ検査を指示した。


   細径の経鼻内視鏡を使い、蛋白分解酵素による術前処置を省略、普段は使用しない胃の動きを止める薬剤を痛み止め目的を兼ねて注射した。内視鏡を難なく胃内に入れ、最小限の空気を送り込んで胃の出口=幽門に達した。その間にアニサキスが刺さり込んだと思われる3個の小さな出血点を確認した。十二指腸上行脚まで挿入してアニサキスが小腸まで到達していないか確かめた。再び胃に戻って空気を送り込み、くまなく胃内を眺めたが虫体は認められない。後は大弯側のヒダの間…いたいた…ヒダの間から尻尾を覗かせている。


   除去作戦開始。刃を落として虫体を切断しないように工夫してある生検鉗子を鉗子孔から差し込んで虫体を掴もうとしたが、クネクネ動いて掴めない。ようやく掴んで引っ張ったが、今度はなかなか引き抜けない。注意深く鉗子を引いて、やっと引き抜いた。取り出すと丸々太った3cmほどのアニサキスの幼虫だ。処置を終えたK子さん、しげしげと眺めて「この虫が悪さをしたのね。あら…痛みが無くなっているわ」と一言。来院したときと違い、颯爽とした姿が印象的!


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