2012年12月21日号

感染性胃腸炎


Aさんは30歳台後半の女性、ご主人に付き添われ、憔悴しきった様子で来院した。問診では昨日の夕方に寒気がして休んでいたが、午後8時頃に突然に吐き気がして嘔吐、まもなく腹痛を伴う水様性の下痢がはじまった。下痢は絞られるような激しい下腹部痛とともに30分ほどの間隔で周期的に起こり、水を飲んでも直ぐに嘔吐してしまう。これらの症状が朝まで続いたそうだ。


   症状が出現する前に風邪を引いた様子はなかったし、悪くなった食物を食べた覚えもない。ご主人や子供はいたって元気…思いあたることといえば、子供が10日ほど前に下痢と嘔吐、発熱があり、かかりつけの小児科で感染性胃腸炎と診断されたこと。


   今頃の季節、感染性胃腸炎の原因はノロウイルスであることが多い。このウイルスはホタテや牡蠣など二枚貝の中にいて、汚染された食品を食べた人が発症する。次に起こる人から人への伝染は、下痢や嘔吐のときに発生する微細な飛沫が付着したものに触れた手が、口に接触しただけで起こる。ウイルスは生きた細胞の中でしか生きられないと思っていたが、調べてみると器物に付着したものでも1~2週間も生きているらしい。普段健康な人は2・3日で症状が消失するが、乳幼児やお年寄りは脱水のために重症化することもある。


   Aさんの場合、子供が感染性胃腸炎を患った時に下痢や嘔吐物が付着した汚染物に触れたことでの感染の可能性が最も高いと考えられる。文献的には症状消失後1~2週間、長いものでは7週間も糞便からウイルスが検出されることもあるらしい。日常の診療で困ることは、患者さんの勤務先から罹患後の安全性についてのコメントを求められること。特に食品関係に従事する患者さんの場合には悩んでしまう。食事の前の流水や石鹸による手洗いとうがい、汚染物の塩素系漂白剤(ブリーチやハイター)による処理が感染予防の要である。
 上野幌内科クリニック/札幌市厚別区上野幌1条3丁目1(国道・札夕線沿)【TEL】896―7577


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