2013年01月01日号

心をまるくまん丸に…


女優の森光子さんが亡くなってから1ヵ月以上もたつのに、心の片隅でまだめそめそしているのに戸惑っている。森さんが生涯をかけた、舞台「放浪記」。生きる悲しみに身を削りながらも真正面から運命に向き合う林芙美子役の森さんと、森さん本人の生きざまが重なり、思う度にヒヨヒヨと泣き出す心待ちになってしまうのだ。“女の幸せ”を捨てて役者の人生に生涯を捧げた迫力を秘めながら、人の悲しみを知る森さんのまなざしは優しく、何よりも色香があって、艶っぽかった。老若男女を問わずに、森さんに密やかな“恋心”を寄せていた人が結構多いのではないかと思っている。


   小沢昭一さん(83歳)。大滝秀治さん(87歳)。山田五十鈴さん(95歳)。映画監督の新藤兼人さん(100歳)…戦争の悲惨を身に刻み込んだ人々、“ギリギリに生きる”ということを知る人々、自分だけではない「涙」をも知る人々が、1人、また1人亡くなっていく…。


   江戸時代中頃に、米や麦など穀物を断って、山の実、草の根などで命をつなぐ穀断ち木食戒(もくじきかい)の修行をする木喰行道(1718年~1810年)というお坊さんがいて、56歳になってから廻国修行に旅立ち、北海道の江差や熊石から、四国、九州まで、93歳で亡くなるまで全国各地に1000体以上の木彫りの仏像を遺(のこ)したことで知られている。その多くが慈愛に満ちた笑顔の「微笑仏」で、地獄にあって苦しむ者を救う地蔵菩薩だったり、安産を願い幼児を守る子安観音だったり、病気を治す薬師如来だったり、馬を守る馬頭観音だったり…人々の暮らしと命そのものの仏さまが、都会ではなく、小さな村々の寺や神社、そして、民家に伝えられた。


   木喰上人(もくじきしょうにん)の仏像を写真で初めて見た時の、お日さまの光のように心にしみじみと広がった温かさは忘れられない。「大丈夫。大丈夫…」そう、囁(ささや)きかけられているような気持ちになった。誰でも、どんな自堕落者でも受け入れ、難しい理屈など言わないで、ただただ苦しい心悲しい心を抱きとめてくれる…まんまるに丸い、そんなやさしい仏さまだった。それで、この新聞を「まんまる新聞」と、何の迷いもなく名付けたのだった。上人のこんな歌も伝えられている……みな人の心をまるくまん丸に どこもかしこもまるくまん丸……。


   本年もまんまる新聞をよろしくお願い申し上げます。―社員一同―


コブクロ CD

トラックバックURL:

« “サンタの秘密” | TOP | 叔父たち・・・ »

[PR]SEO対策済みテンプレート