2013年02月22日号

かた雪


2月3日節分の夜、表に出てみたらしんしんと冷えてきている。立春を前に春めいた日が続いたものだから、もしかして…とちょっと心が躍(おど)った。「かた雪」ができるかも知れないと思ったのだ。空き地の雪の上に恐る恐る乗ってみた。…ぬからない。この90kg近い図体(ずうたい)でもせいぜい1cmほど沈む程度だ。うれしくなって、夜の雪野原の上を歩いたら、何だかしみじみとしてしまった…。


   「堅雪かんこ、凍み雪しんこ。」四郎とかん子とは小さな雪沓(ゆきぐつ)をはいてキックキックキック、野原に出ました。こんな面白い日が、またとあるでしょうか。いつもは歩けない黍(きび)の畑の中でも、すすきで一杯だった野原の上でも、すきな方へどこ迄でも行けるのです(宮沢賢治作「雪渡り」)……


   雪の表面が何回かとけては締まって、春めく日差しにとけたのが、また夜にぐんと冷え込むと、雪の表面が凍って、その上を自由に歩けるようになる。秋田で育った散歩人は「堅雪(かたゆき)」などと呼んだ。かたまりやすい湿り雪の東北ほどではないにしても、北海道でも“かた雪”で遊んだ記憶を持つ人は多い。


   まだ気温が上がらない朝早く、子供たちはかた雪の上を走って遊び、学校に行く時は田んぼや畑の上を真っすぐに近道した。朝日にきらめく雪の結晶。ダイヤモンドをまき散らしたような輝きの中の、春の訪れを歓喜するような幻想的な情景…厳しい冬を乗り越えたご褒美なのか、春を待つ北国の子供たちには、そんな神様からの贈り物がある。


   今度は、朝日に輝くかた雪の上を、もう少し遠くまで歩いてみようと思っている。子供の頃には帰れないけど…。


ビクター Everio エブリオ GZ-MG330

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