2013年04月05日号

ピロリ菌と胃潰瘍・胃癌


今やピロリ菌が胃潰瘍や胃癌の原因となるバイキンとして有名だ。最近、このバイキンを駆除する除菌療法の保険適応範囲が拡大された。ピロリ菌除菌療法は、10数年前に胃潰瘍と十二指腸潰瘍にのみ適応、3年ほど前に胃悪性リンパ腫や早期胃癌の治療後などにも拡大、この度は慢性胃炎にまで拡大とのことだが、詳細はまだはっきりしない。


   胃の中に細菌がいるという報告は、19世紀後半始まり、20世紀に入ると胃癌患者の胃粘膜に細菌が見つかるとの報告が相次いだ。しかし、強力な殺菌作用を有する胃液の中では生息できないだろうとの理由から、これらの報告は忘れ去られた。1983年に豪州のウォレンとマーシャルが培養法を確立、培養した細菌を飲むと急性胃炎になることを証明し、再び注目されるようになった。


   私が医者になった頃、胃潰瘍は胃壁を攻撃する胃液中の塩酸とペプシンなど攻撃因子と胃壁を保護する粘液などの防御因子とのバランスが崩れることが原因=シェイの天秤学説が主流で、バランスを崩すのがストレス、消炎鎮痛剤やステロイドなどの薬剤などとされていた。現在でもピロリ菌で証明されない胃潰瘍があることから、部分的には当たっている。


   ピロリ菌は飲料水などを介して口から侵入する。胃に定着するのは、菌が放出する酵素によって粘液に含まれる尿素からアンモニアを作り、身にまとって胃液を中和=無力化するからだ。感染すると、局所に集まった白血球が細胞障害性物質を放出、粘膜を侵食して潰瘍を作る。だが、それで終わらない。ピロリ菌はCogA蛋白を粘膜細胞内に注入する。この物質は細胞内で変化して細胞分裂などに異常を及ぼす。これが発癌のメカニズムに繋がるらしい。除菌療法の適応拡大によって胃癌発生率を低下させることが可能なのか、食道癌やアレルギー性鼻炎の発生リスクの増大はないのか、解決されていない問題もある!


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