2013年04月19日号

啄木鳥のこと


今年の冬は気温の低い日々が続き、積雪も多かった。それだけに春の訪れが待ち遠しい。今朝、クリニック前の副道にある花壇を見ると、福寿草の花が7個芽をのぞかせていた。まもなく延胡索(えんごさく)も芽を出すだろう。


   昨年のこの時期に知事公館の森でキツツキのドラミングを聞いた記憶があり、出勤時のウオーキング行程を少し迂回して、そのポイント付近まで行ってみた。近づくと、コンコンコン…という低音のドラミング音が聞こえてきた。だが、昨年聞いたよりも下手くそ、音も小さく途切れがちなのだ。世代が入れ替わったのかなと思った。数日後に同じルートを歩くと、上手なドラミング音が聞こえてきた。前の場所から200メートルも離れていない。同じ個体なのか不明だが、メスを誘うために行うサインならば、後者の方が圧倒的に優勢だ。


   キツツキを漢字で書くと啄木鳥である。「木を啄む鳥」の意味だが、すぐに夭逝した天才詩人・石川啄木を連想する。彼は旧制中学を退学して上京し、与謝野鉄幹・晶子夫妻の知己を得るが、ホームシックから心を患い、帰郷して療養。窓から聞こえるキツツキのドラミング、その「閑静高古の響き」が心を休めて再出発の決意を新たにし、ペンネームを啄木としたそうだ。このとき彼は17歳。それ以後、彼は自身の早世を予期したかのように、次々に歌集を発表して突っ走った。


   「啄」という字は「ついばむ」という意味、これを使った「■啄同時(そったくどうじ)」という言葉があるそうだ。雛鳥が卵から出るときに殻の中からつつくのが「■」、親鳥が外からつついて孵化を促すのが「啄」、このタイミングが合わないと雛鳥は死んでしまう。禅の世界の言葉だそうだが、私たちの日常診療に例えると、患者さんからの訴えがあり、それに対して私たち医療者が適切な検査をし、適切な助言・処置を与えなければ、不幸な結末を招くという警句と理解した!

※■は口へんに卒


マイクスタンド

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