2013年05月10日号

春のよろこび


やわらかな日差しに、そよ吹く風がきらきら光っている“春”いっぱいの季節…。今年は5月5日が「立夏」に当たっていて、暦の上ではもう夏だけど、待ちに待って春を迎えた心情としてみれば、何をか言わん、これからが「春」真っ盛り…野にも山にも町にも、生命(いのち)の花々が咲き乱れる「春爛漫」の季節なのだ。


   黄色の絹の輝きでお日さまのように花開く福寿草、森の中のカタクリの花はゆかしくうつむいて、ニリンソウの清楚な白い花は、薄桃色にほんのり頬を染める乙女の佇(たたず)まい。妖艶な紫のエゾエンゴサク、神秘的に咲くエンレイソウの白と赤紫、小川のほとりに目にしみるような鮮やかな黄色で咲くエゾノリュウキンカ(ヤチブキ)、川辺の土手や野に花開く少女のような可憐さの白い花アズマイチゲ……多くは、昼に花を広げて夜に花を閉じる。


   春の森は、木の葉にさえぎられることもなく地面まで降りそそぐ日差しを受けて、林床に根付く植物たちがこの時とばかりに花を咲かせる。根や球根に栄養を蓄えて夏までには葉を枯らしてしまう。この早春の花々を「スプリング・エフェメラル」というのだそうだ。“エフェメラル”はギリシャ語の「蜉蝣(カゲロウ)」「短命なもの」から出ていて、情緒的に「春の妖精」などと表現する人もいる。生命の喜びに満ちる春の森に妖精たちの歌が響き渡る…。


   野山にはもうすぐあたり一面にタンポポの黄色が広がって、薄青の忘れな草(エゾムラサキ)やスミレなどの小さな花々がほつほつと咲き始める。桜の後には、紅と白の梅の花、こぶし、スモモの白花、木蓮、ツツジ、あざやかな黄色のレンギョウ…木々の花々も咲き乱れて百花繚乱(りょうらん)……。


   青い空、白い雲、霞(かすみ)の向こうに青く連なる山々、淡く沈んで行く薄紅(うすくれない)の夕暮れ、朧(おぼろ)な月影……誰にも同じに春が来て、ようやく春が来てくれたんだと、何だかうれしくなって、うきうきしている。


エコポイント対象 冷蔵庫

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