2013年05月10日号

まぶたが下がってきたら④


今まで3回にわたり眼瞼下垂(まぶたが下がる病気)についてお話ししました。要約すると、①加齢による眼瞼下垂は、増加の域を超えて日常化している②加えてコンタクトレンズによる下垂も増加の一途③これら腱膜性眼瞼下垂に対しては眼瞼挙筋腱膜固定術が効果的で、術後は視野が広がり、目の疲れや頭痛・肩こりが改善する④この病気と間違えられやすい病気には、全身の筋肉に障害を起こす重症筋無力症がある、などです。今回は、眼瞼下垂の出現が脳内病変の危険な前兆になることがある、という話です。


   まぶたは、動眼神経に支配される眼瞼挙筋と交感神経支配のミュラー筋という2つの筋の共同作業で行われます。頭蓋内に異常(例えば脳出血や脳梗塞など)が起こり、動眼神経や交感神経の中枢が侵されると、まぶたに延びている動眼神経や交感神経にも影響が及び、結果として目に障害が現れます。特に動眼神経は、まぶたを持ち上げる眼瞼挙筋のみならず、内直筋、下直筋、上直筋、下斜筋といった眼球を動かす筋肉や、瞳の大きさを調節する瞳孔括約筋も支配しているため、動眼神経が侵されると、眼瞼下垂、眼球運動障害に加え瞳孔麻痺により瞳が散大します。この様なことから、眼瞼下垂に眼球運動障害、瞳孔異常などが現れたら、脳内に重大な病気が起こっていることを示します。


   脳動脈瘤は救急疾患の一つです。動脈瘤が破裂すると一命に関わるので、診断から手術までの時間が生命予後を左右します。脳動脈瘤は、動眼神経核という脳の中枢近くを走行する動脈に起こりやすく、脳動脈瘤が大きくなる過程で動眼神経を圧迫し、眼瞼下垂や眼球運動障害による複視(ものが2重に見える)を起こします。しかし、動眼神経麻痺は、脳動脈瘤のみで起こる訳ではなく、糖尿病、腫瘍(下垂体腫瘍)、炎症、外傷などでも起こります。この様なことから、眼瞼下垂の原因を迅速かつ正確に診断することが、動脈瘤の破裂を避けるために、重要な意味を持つことになります。


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