2013年07月12日号

憲法“改正”


恐ろしい事態が進行している……自由民主党が発表している「日本国憲法改正草案」(平成24年4月27日決定)を見て、背筋が寒くなった。衆議院で多数を占め、今度の参院選でも自民党が圧倒的な優位を固めているとなれば、この憲法改正草案は一気に現実味を増し、事態は急展開する。民主党の勢力が大きく後退した結果、歯止めとなる反対野党勢力の結集がおぼつかない。自民党の思い通りになって、戦後70年近くこの国を律してきた憲法が、加速度的に“改正”に向かうことになる…。


   草案で怖いと思ったのは、「国防軍」の新設などだけではない。例えば現行の憲法で大切にされている「公共の福祉」(社会構成員全体の利益=広辞苑)という言葉が、自民党草案では多くの条項で「公益及び公の秩序」という言葉に変わっていて、その解釈次第では、権力者の判断ひとつで、国民の人権が奪われてしまう事態につながってしまう。第21条では「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」という現行憲法に、自民党草案では第2項を追加して「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」と、権力者が“公益及び公の秩序”を害すると判断したら、自由に表現したり、出版・発信をしたり、団体やグループを作ったり、集会したりすることが許されなくなってしまう可能性が出ている。さらに第10章「最高法規」にある条文で、憲法の基本的人権の本質について規定するとされる第97条をまるごと削除。個々人ひとりひとりを尊重する、先人が血と命の代償で勝ち取った「基本的人権」が打ち捨てられかねない。


   この草案を作った自民党の憲法改正推進本部に、顧問として名を連ねていた古賀誠元自民党幹事長が、共産党機関紙「しんぶん赤旗」日曜版(6月2日付)に登場して話題を呼んだ。古賀氏は改憲への慎重論を強調、戦争遺児としての生い立ちに触れ「二度と戦争を起こしてはならない」「戦争を知らない人たちが国民の8割近くを占めるようになった。戦争を知っている私たちのような世代の役割は大きい。(赤旗の)インタビューを受けたのも、戦争を知る世代の政治家の責任だと思ったからだ」と述べた。わざわざ共産党機関紙で改憲慎重論を語ったのは、ギリギリの危機感が増したためではないかとの憶測さえある。


   田中角栄が「戦争を知っている人間が社会の中核にいる間はいいが、戦争を知らない人間ばかりになると日本は怖いことになる」と、常々語っていたと多くの関係者が紹介している。それが今、現実のものになってきている…。


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