2013年08月23日号

夏季の原因不明熱


北海道の夏の気温と湿度は、本州に比べると天国のように思えるが、屋内にいても、ましてや屋外で作業したときの消耗は甚だしく、我慢の限界を超えることもある。最近、歳を加えるにつれて「暑い」という感覚が薄れてきたと感じる。若い時は自他ともに汗かきと認めていたものの、最近では汗を気にすることがなくなっている。体温調節機能が減退してきたせいなのかも知れない。


   昔から夏風邪と言われる病気がある。今年は手足口病、ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱(プール熱)が流行している。いずれも子供に多いウイルスが原因の病気。私のクリニックにもこの時期、大人で高熱の他に症状のない患者さんが訪れる。Iさんも38・9度の発熱で初診した。他の自覚症状はない。ウイルスが原因の夏風邪?と考え、混合感染防止のための抗菌剤と解熱鎮痛剤を処方したが、その後数日間、高熱と解熱を繰り返した。


   インフルエンザのように迅速簡易診断が可能なウイルス性疾患は少ない。発病初期としばらくしての抗体値を測定し、抗体価の上昇が見られて後日に診断可能となるものが大多数。Iさんから「大きな病院で精密検査を」との電話があり、私もそれに賛成した。土日の休診を挟んだため月曜日に受診、強度の咽頭痛と咽頭部の水泡性発疹が見られ、総合病院を紹介した。


   「帯状疱疹との診断で抗ヘルペス薬を処方した」との返事だったが、いままでに高熱のみ数日持続してから典型的な帯状疱疹が現れた例を経験したことがなく、何となく釈然としない。翌日の新聞で前に掲げた3つのウイルス性疾患が流行していることを知り、病状の推移からするとヘルパンギーナあるいは咽頭結膜熱だった可能性が高いと思われた。そういえば、初診から2日後の受診の際に、「眼が何となくゴロゴロして違和感を覚える」と言ったIさんの言葉を思い出した。そのときにもう少し詳細な診察をしていれば、もっと早くに…原始的だが五感を使った情報収集の大切さを学んだ!


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