2013年11月08日号

薬で治す黄斑部の病気①


 視線の中心となる黄斑部は、様々な網膜疾患の巣窟でもあります。黄斑部が異常を起こすと、中心部に歪み、中心部の暗点、中心部視野欠損などが生じます。その結果、新聞が読めない、車の運転が出来ないなど、日常生活に様々な障害を起こします。代表的な病気として加齢黄斑変性や糖尿病網膜症、眼底出血(網膜静脈閉塞症)などがあります。これらの治療はレーザー治療が主体でしたが、最近では薬物治療も行われるようになりました。


 新生血管を萎縮させる薬物治療 黄斑部に出血や血液漏出が起こり、最終的には中心の網膜神経細胞が荒廃して高度の視力低下と中心暗点(見ようとするところが見えなくなる)病気の代表として加齢黄斑変性が上げられます。網膜に出来た異常血管(新生血管)が原因です。黄斑部網膜が加齢など種々の原因で慢性の酸欠状態になると血管内皮増殖因子という物質が産生され、新生血管を誘導します。そこでこの新生血管増殖因子を抑えることが出来れば、新生血管を萎縮させ出血・浮腫を抑えることができます。この新生血管を抑制する作用のある薬剤がラニビズマブ(発音すると舌を噛んでしまいそうな名前の薬剤)です。この薬はもともと癌の治療薬(癌が発育するには新生血管から栄養が補給される)でしたが、この薬を加齢黄斑変性に投与すると、新生血管は萎縮し病気の進行が止ります。その結果、病状は安定化して、視力も回復する可能性が高まります。新生血管が黄斑部に起こるのは加齢黄斑変性ばかりではありません。強度近視のFuchs斑や、原因不明の特発性血管新生黄斑症と呼ばれる病気などにも黄斑部に新生血管が生じます。これらの病気は、働き盛りの若年者に発症することが多く、中途失明という社会的問題をはらんでいます。今までは、これらの病気も加齢黄斑変性と同様レーザーが唯一の治療法でした。しかし、最近ラニビズマブがこれらの病気にも有効なことが分かり、新たな薬物治療として期待されています。


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