2013年12月13日号

「特定秘密保護法」


 あこがれは戦艦大和だった…。戦後十数年、昭和30年代の日本はまだ敗戦の傷が生々しかったのだろうが、男の子たちは木片で軍艦を作ったり、ノートにゼロ戦を描いて遊んでいた。子供にとっての“戦争”はもう、頭や体が吹き飛ばされたり、内臓がはみ出たりしてやがて死体が腐乱してゆく、生身の人間の血と命の現実の在り様とはかけ離れた、夢物語の世界に戻っていた。


 その頃、勇ましい軍艦マーチの節に乗せてこんな替え歌を大声で歌っていた。♪守るも攻めるも黒鉄(くろがね)の、鼻から生まれたふぐらんこ……“ふぐらんこ”というのは、風船の秋田弁で、まあ、理屈なんかない子供たちの戯(ざ)れ歌だった。


 「特定秘密保護法」が強行採決されて成立した。確かに「国家機密」を守る仕組みや法律の必要性はあるのかも知れないと散歩人などは思っている。ただ、その時々の政府や役人が、自分に都合のいい解釈や運用で、都合の悪いことを隠したり、権力の道具にできるような「欠陥」があってはいけない。国民と国の命運を危うくする可能性を含んでいてはいけない。そういういい加減なものを、国民の代表である国会議員が拙速に作っては、それは国民と国家に対する裏切りではないかと、そう思うのだ。


 「決められる政治」だと勇ましい政権が、軍艦マーチよろしく進撃する…。だが、国民の「血と命」がかかるという覚悟の政治とは思えない。まるで♪鼻から生まれたふぐらんこ…のような、子供じみた独りよがりの危うささえ感じてしまうのだ。


斉藤和義 CD

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