2014年02月07日号

ママさんダンプ


 北海道に住んで何よりも驚いたのが、雪質の軽さだったのを覚えている。吹けば本当に飛んでしまう軽さで、ほうきで掃けるのだ。湿って重い東北の雪とは、まるで違う。雪べらが、北海道では籠目(かごめ)に編んだ竹製で玄関周りの除雪程度なら竹製の方が軽くて楽だった。後にスノーダンプがみるみるうちに普及する。またの名をママさんダンプ。日々の除雪の大変さを思えば、夢のような大発明ではないかと思ったものだった。


 北海道開拓記念館によると、昭和20年代(後半とも言われる)から今のスノーダンプような形の木製雪押し器具が、積雪の多い空知地方を中心に旧国鉄保線区の除雪に使われていたという。農家で豆がらなどをふるい飛ばすのに使う箕(み)に似ていることから「雪箕(ゆきみ)」と呼ばれた。昭和30年代後半に入ると、国鉄や開発局が鉄工所に鉄製の「雪箕」を注文するようになるが、同じ頃、石川県など雪深い北陸地方でも同じような形の鉄製の「雪箕」が考案され作られている。小規模で量産基盤のない道内の業者に対して、北陸の業者は意匠・商標登録で生産・販売権を獲得し、昭和40年代後半には量産を開始。「スノッパー」「スノーダンプ」の名称で雪国に急速に広がり始める。そして、女性のためにプラスティック製の軽いものをと、昭和60年(1985年)に新潟県の業者が「ママサンダンプ」(昭和51年商標登録)を発売。一気に普及する。


 スノーダンプのルーツといえる木製雪押し「雪箕」。その現物が開拓記念館に保存されていた=写真=。旧国鉄岩見沢保線区で昭和45年頃まで使用されていたものだという。除雪具の変遷などを詳しく調べた「ものとテクノロジー・北海道の物質文化研究」(北海道出版企画センター刊)の著者で、元北海道開拓記念館学芸員の氏家等さん(現北海道開拓の村副館長)は、「今はもう廃止されましたが、雪深い深川と名寄を結んだ深名線が(雪箕の)発祥地ではないかと考えています」と語る。


 今や冬には欠かせない存在になったママさんダンプのルーツは、雪と格闘する国鉄保線区職員の日々の工夫と“発明”にあった。ちなみに、最近は強度を上げて大きめにした「パパさんダンプ」もあるのだとか…。


のだめ CD

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