2014年03月21日号

不眠症の新しい薬


 Kさんは90歳を過ぎた女性で老人施設に入居している。5年ほど前から中等度の認知機能低下が見られるようになっていた。最近、以前と同様に午後8時にはベッドに入るが、3時間ほどで抜け出し箪笥をゴソゴソ…スタッフが入床を促すが、ベッドに出たり入ったり…昼間はウトウト。


 このような現象は昼夜逆転と呼び、老人施設でしばしば観察される。昼間の睡眠を制限したり、睡眠導入薬を使ったりして生活リズムを是正しようとするのだが、あまり上手くいかないことが多い。従来の睡眠導入薬は脳機能を『停止』させて睡眠に導くため、高齢者の場合、フラついて骨折のリスクも多くなる。出来ればあまり使いたくない薬剤だ。


 睡眠という生理現象は、人間の生存にとって欠くことができないもの。睡眠と覚醒が交互におとずれるパターンはメラトニンというホルモンによって制御されている。日中、強い光を浴びるとメラトニンの分泌は減少し、夜、暗くなってくると増える。それによって脈拍・体温・血圧などを低下させ、睡眠への準備完了を身体に知らせる。乳児期に分泌量が多く、加齢とともに減ってくる。不規則な生活パターンや昼間太陽光を浴びない生活によってメラトニンの分泌リズムに変調をきたすと不眠状態に陥る。


 このメラトニンと同様の作用をするラメルテオンという薬剤が製品化されている。これをKさんに使用してみた。本格的な効果発現には1カ月かかるとのことだったので、あまり期待していなかったが、服用2日目から午後8時にベッドに入って翌朝4時まで熟睡。10日に1度くらいは夜間にベッドから起きだして「勤めに行かなくちゃ」と着替えをすることもあるが、以前よりは昼間の生活も活動的で混乱も少なくなった。夜間の問題行動に悩まされている他の入居者に使用してみたところ、期待した8割くらいの効果、もう少し若い不眠症の患者さんにも試してみたい!


バーベキュー セット

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