2014年05月16日号

見える範囲の異常に気付いたら


 今回は視交叉部の視野異常の話です。脳内の視路に病気が起こると特徴的な視野異常が現れ、これが「診断の決めて」になることがあります。左右の眼の網膜からは、それぞれ100万本の網膜神経線維が出て左右の視神経乳頭でおのおの1本の視神経となります。これら左右の視神経が脳内に入ると、鼻側半分の神経線維は視交叉で反対側の耳側線維と一緒になり、左右の大脳視中枢に到達します。この視交叉の前までの病変(例えば網膜や視神経)では、視野障害は片側のみに現れます。しかし、視交叉よりも大脳視中枢に近い病変では、一側の視路に左右の神経線維が半分ずつ存在しているため、一側の障害でも両眼性の視野異常が現れます。この特徴が病変部位を特定するのに重要な鍵になります。「視交叉を境に眼球寄りでは片側性、視中枢側では両眼性の視野異常が起こる」と覚えておいて下さい。


 片側性の視野異常は、網膜剥離や網膜血管閉塞など眼球内の網膜病変や、視神経の炎症などで起こります。あまりなじみのない眼窩(眼球の後ろのスペース)や耳鼻科領域の副鼻腔などの炎症や腫瘍などでも視野異常は片側性です。さて、両眼性視野障害の第一は、先ほどの視交叉病変です。視交叉は脳の底部にあり、この場所は脳の炎症や腫瘍、脳動脈瘤などの影響を受けやすい部位です。特に視交叉の下方には脳下垂体と呼ばれるホルモンを分泌する脳組織があり、しばしばこの脳下垂体に腫瘍ができホルモンを分泌すると巨人症、末端肥大症や月経不順などが現れます。腫瘍が視交叉を下方から圧迫すると、これらの全身症状に先行して両眼の耳側視野が狭くなることがあります。この両眼耳側半盲が確認された場合、頭部のCTやMRI検査が必要です。


 網膜に始まる視路は視交叉を過ぎると視索、外側膝状体などを経て大脳後部の左右視中枢に達しますが、視交叉から中枢の道のりでも種々の障害を受け、特徴的な両眼性の視野障害を起こします。


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