2014年06月06日号

高血圧の基準値緩和?


 Sさんは74歳の男性、高血圧症や糖尿病で治療中、両疾患とも良好にコントロール。定期受診の日に「先生、高血圧や糖尿病の基準が緩和されたから、薬を飲まなくて良くなったのかい?」と。今年4月以降に同様の質問を何度も受けている。


 震源は、日本人間ドッグ学会と健康保険組合連合会が4月に公表した件に関して朝日新聞が「『健康』基準を広げます」と報じたことにある。この記事を読んだ一般読者は「生活習慣病の基準が緩和された」と勘違いすると思う。これに対して人間ドッグ学会は「(この)報道は誤解」と弁明しているが、後追い記事の掲載はない。健康診断や人間ドッグでの測定値が正常範囲を逸脱しても、高血圧症や糖尿病、脂質異常症と確定したのではない。いずれも変動幅の大きいデータだからだ。


 例えば高血圧の場合、上記団体が公表した基準では最高血圧が147、最低血圧が94までを「正常」と判定するとの記事内容だが、測定条件によって顕著な差が出てくる白衣高血圧や仮面高血圧、早朝高血圧などを見逃す可能性が大…高血圧症の疑いのある人には、2週間から数ヶ月間家庭血圧を測定してもらい、記録を見て降圧剤の服用の可否や量を判断するのが常道だ。上記の記事に即座に日本高血圧学会や日本動脈硬化学会などが反論したのは当然だ。


 高血圧治療ガイドラインが5年ぶりに改訂され、今年4月に出版された。将来のリスクまで考慮した診断基準は、最高血圧が140あるいは最低血圧が90以上を高血圧とすることで変更はない。治療目標値に関しては、前にはなかった診察室血圧と家庭血圧の2区分、本人の合併症(糖尿病や腎臓病、脳血管障害)の有無や年齢を考慮した5区分を設定し、より細かな目標値が設定された。Kさんには、これらのことを説明して納得してもらったが、マスコミが報じる健康情報には、様々なバイアスがかかっていることを知って欲しい!


新米

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