2014年07月04日号

慢性C型肝炎と肝臓癌


 Yさんは80歳を少し超えた男性。12年前から当クリニックで本態性高血圧症と慢性C型肝炎の治療を続けている。初診時からC型肝炎ウイルス抗体価もC型肝炎ウイルス核酸定量も高力価。奥様も慢性C型肝炎で治療しているが、夫婦間感染は殆ど無いと言われている。


 初診時から肝硬変への移行や発癌についてのリスクも説明していた。その後、新しい抗ウイルス薬も出現したため、それによる治療も勧めたが、「今のまま検査と薬物治療を続け、もし癌が発生した場合には迅速に対処して欲しい」とのことで、年に2回の画像診断と3ヶ月ごとの血液検査を行っていた。


 肝炎を起こすウイルスとしてA~GとTT型が知られているが、A~C型が多く、他のものは極めて少ない。通常、A型肝炎は急性肝炎を起こして治癒し、慢性化することはないが、B・C型は慢性肝炎へと遷延化することが多い。特にC型肝炎が慢性化すると10年ほどの経過で60%が肝硬変へと移行し、その後は年に7~8%の頻度で肝細胞癌を発症すると言われている。肝硬変への進展を阻止する目的でインターフェロンやウイルス増殖に必要な酵素を阻害する薬剤が開発され、臨床応用されている。


 Yさんと奥様も前述した方法で経過を追っていたが、今年4月のYさんの血液データでPIVKA―Ⅱという肝臓癌腫瘍マーカーの値が1月の24から182(正常値は40未満)に急上昇した。すぐに恵佑会第二病院の肝臓専門医に紹介。精密検査を受けたところ、造影CT検査などで肝細胞癌と診断。治療法として肝臓の部分切除、体外から腫瘍にエタノールを注入して壊死させる局所療法、腫瘍に栄養を供給する動脈を閉塞させる塞栓療法(塞栓物質に抗癌剤が混合)などがある。Yさんの場合には、年齢、肝臓の予備能力、今後の再発可能性などを考慮して動脈塞栓療法が選択され、1週間ほどの入院で無事に退院、ひとまずは安心!


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