2014年07月18日号

年齢(とし)のせい!


 Mさんは高血圧症と脂質異常症で通院している。受診の際に「庭仕事をチョットしただけなのに腰と膝が痛くなって」と話し出した。「整形外科を受診?」と尋ねたら、「レントゲンで大きな異常はないし、『年齢のせい』だね」と言われたそうだ。「最近、目も霞むし、耳鳴りや聴こえも悪くなった。これも『年齢のせい』なの?」と呟いた。Mさんは79歳…「そうだね」と言いたかったが、笑って誤魔化した。


 私のクリニックを受診する人の8割は、いわゆる生活習慣病だ。いずれも加齢に伴って出現、進行する病気である。この意味では、私が診ている患者さんの大部分は『年齢のせい』が原因の疾患なのだ。自分が60歳頃までは患者さんに『年齢のせい』と抵抗なく言っていたが、自分が高齢者の範疇に入って『年齢のせい』を自覚するようになってから、この言葉を容易に口にできなくなった。


 現代医学では老化の原因について、細胞分裂回数は予め遺伝子によって決まっているというプログラム説、細胞分裂のたびに遺伝子損傷が重なるのが原因というエラー説、代謝に伴って生じる活性酸素によるダメージが原因という活性酸素説などが主流となっている。どの説にしても生命を受けた人間には避けられないことは確かなことである。


 Mさんの場合には『年齢のせい』で納得されているようだが、中には毎回のように「眼科や耳鼻科、整形外科や皮膚科を受診しても先生から『年齢のせい』と言われるけど、私の友達は皆ピンピンしている」と言って、いろいろな病院や診療所を渡り歩く90歳間近の患者さんもいる。だが、ウェルナー症候群のように若年から急速に老化が進展する特殊な病気以外、多少の進行速度の違いがあっても、人はほぼ均等に老化を経験する。老化を受け入れるのか、納得しないのか、どちらが良いのか…往々にして後者の群に認知機能低下の傾向が見られるように感じる!


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