2014年08月01日号

脱水症と経口補水液(ORS)


 Yさんは81歳の男性、高血圧症などで定期通院している。ある日、救急隊から「麻痺はなさそうだが、筋肉の脱力のために立位保持が困難」との知らせが入った。当クリニックで診察をしてから転送するのは時間の無駄と考えて「入院施設のある病院へ搬送してください」と連絡した。


 後日、Yさんが来院しての話では「暑い中で家庭菜園の手入れをしてタップリと汗をかき、疲れたので食事もそこそこに寝てしまったら、翌朝足腰に力が入らず立てなくなった」とのことだが、入院先からの情報提供書によると、腎盂腎炎も併発していたようだ。診断は腎盂腎炎に併発した脱水症。他にも起床時に足腰が立たなくなったり、歩行困難になったりして来院する高齢者が5名ほどいた。いずれの原因も脱水症である。


 日本古来の「おもゆ」の主要成分は水と澱粉(ブドウ糖の重合体)と塩、経口補水液と呼ばれるものと成分比が類似している。水分吸収の多くは大腸でなされるが、下痢の状態になるとこれが機能せず、ナトリウムやカリウムの流出も起こる。小腸でブドウ糖が吸収されるとき、同時にナトリウムと水の吸収もおこる共輸送系という仕組みが発見され、水と食塩とブドウ糖を主成分とする経口補水液が発明された。発展途上国への医療援助に利用されるようになり、コレラなど急性下痢症の小児救命に役だっている。


 現在、OS―1という飲料水として商品化されているが、家庭でも作ることができる。水1000ccに食塩3gと砂糖40gを混合すれば良い。カリウムの補給や味を考慮すると、水を無塩トマトジュース300ccと水700ccの混合物に置き換える。Yさんの場合には補液と抗生剤の点滴で数日後に無事退院。その他の方々もクリニックで補液の点滴とOS―1の飲用で事なきを得た。中には車椅子で来院し、点滴を終えて帰るとき、足取りも軽くスキップして玄関を出た方もいる!


けいおん! CD

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