2014年08月22日号

野菜のはなし


 朝ドラ「あまちゃん」の太巻社長役ですっかりお茶の間の人気者になった俳優の古田新太(あらた)さんが、「野菜は皿か」と怒鳴る、野菜ジュースのテレビコマーシャルがある。「人はなぜ肉の下にレタスを敷くのか。そしてそれを残すのか…」とさも深刻な風に問いかけ、声を荒げて「野菜は皿か!」とやってから、ちょっとにやけておいしそうに野菜ジュースを飲むという演技力たっぷりのCMなのだが、意表を突いた物言いが面白くて、そうだそうだと気に入っていた。


 それこそ肉の下に敷かれたレタスや千切りのキャベツも、刺身の付け合せの白髪大根(しらがだいこん)なども、できるだけ食べてしまうのがいいと思っている。添え物の野菜には、栄養のバランスをとる意味もあるし、口直しになったり、消化を助けたりする役目もあるそうだし、何よりもうまいのだ。うん、野菜は皿なんかじゃあない…。


 ただ、ちょっと気になるのが、添える野菜の使い回しで、大阪の有名高級料亭が客が残した料理をいったん回収し、別の客に提供していた事件があった(船場吉兆の料理使い回し、2008年発覚)。天ぷらは揚げ直し、刺し身は盛り直し、刺し身のツマなどは洗い直して再利用していたという。実は十数年前に、やはり札幌の老舗料亭の従業員と名乗る女性から、「野菜や刺身のツマなどを使い回ししている」という内容の内部告発の電話を受けて戸惑ったことがあった。良心がとがめて思い切って電話してきたようだった。高級料亭などとはまったく縁がない人生だったから、政財界のお偉方がそんなものを有難がっているのが何だかおかしくて、白状すればちょっとだけ「様を見ろ」的な感情がわいた。若い頃勤めていた川崎のキャバレーでは、下げて来たのを裏口で貪り食った。きれいに手付かずなのは、閉店後にビールの残ったのを飲む「残ビー会」に残しておいた。もったいないのだ。だが、客に使い回しはしない。何かあったら大変な事になるのを店も知っていた。


 …で、最近、愛知県の丸繁製菓という会社が開発した食べられる皿「イートレー」(eat trayから命名)が、オニオンやほうれん草、紫いもなど野菜シリーズとエビ味とで人気を集めている。小麦粉とコーンスターチを主原料に皿状に焼き上げたもの。適度に硬くて水にも強く、焼きそばもカレーも汁物もかき氷なんかにもOK。最期に皿をパリパリおいしく食べられる。今後はフォークやスプーンなども開発する予定とか。ここでは「野菜は皿だ!」った…。


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