2014年08月29日号

「君が僕の息子について教えてくれたこと」


NHKのドキュメンタリー「君が僕の息子について教えてくれたこと」(8月16日放送)という番組に大きな衝撃を受けた。


  東田直樹さん(1992年生まれ、21歳)という日常会話ができないほどに重度の自閉症の青年が、13歳の時に、自閉症である自分の心の内を綴ったエッセイ「自閉症の僕が跳びはねる理由」(2007年、エスコアール出版部刊)を書いた。自閉症者が自らの内面世界を語るきわめて画期的な著作だったにも関わらず、なぜか日本ではほとんど話題にならなかったのが、7年後、自閉症の息子がいるアイルランドの作家デイビッド・ミッチェル氏が英訳して(タイトル「The Reason I Jump」)、欧米を中心にまたたく間に世界的なベストセラーとなった。番組は、東田さんとミッチェルさんの交流を柱に、東田さんの本で扉が開き始めた自閉症の世界とその家族の思いを追う。ミッチェルさんは東田さんの本を読んで「息子が自分に語りかけているように感じた」と語る。なぜ息子は突然パニックになるのか、床に頭を打ちつけるのか、奇声を発するのか、大きな音におびえるのか、すべての答えがそこにあったというのだ。この本は、自閉症の子供を持つ、世界の多くの家族も救うことになったと、番組では言い添えている。


 本にはこうある(抜粋)――「どうして上手く会話できないのですか?」「話したいことは話せず、関係のない言葉は、どんどん勝手に口から出てしまうからです。僕はそれが辛くて悲しくて、みんなが簡単に話しているのがうらやましくてしかたありませんでした。思いはみんなと同じなのに、それを伝える方法が見つからないのです。僕たちは、自分の体さえ自分の思い通りにならなくて、じっとしていることも、言われた通りに動くこともできず、まるで不良品のロボットを運転しているようなものです。いつもみんなにしかられ、その上弁解もできないなんて、僕は世の中すべての人に見捨てられたような気持ちでした。僕たちを見かけだけで判断しないで下さい。」…。


 東田さんは辛い時、うれしい時に跳びはねてしまうのだという。そしてこうも語っている――「そばにいてくれる人は、どうか僕たちのことで悩まないで下さい。自分がつらいのは我慢できます。しかし、自分がいることで周りを不幸にしていることには、僕たちは耐えられないのです」「僕のために、誰も犠牲になっていないと、子ども時代の僕に思わせてくれたのが、僕の家族のすごいところです」…。


 放送の反響は大きく、番組再放送の希望が相次いだため、NHKでは急いでアンコール放送を決定した。特集ドキュメンタリー「君が僕の息子について教えてくれたこと」の再放送は、NHK総合テレビ9月13日(土)午後3時5分~4時4分。ぜひ、見て欲しい。


ハイゲージニット

トラックバックURL:

« 見たいものだけが見える | TOP | 透明は角膜のいのち④防衛機能が破綻した »

[PR]SEO対策済みテンプレート